two of a kind *Mako's story*

一歩 ページ31

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ウッチーの入籍発表は、新年早々日本を騒がせた。


入籍の報告をするウッチーの動画を見たら、俺の胸に熱い気持ちが込み上げて少し視界が滲んだけど。

やっぱりAちゃんとウッチーは、一緒になるべくしてなったんだと思った。









それからすぐに始まったサッカーのアジアカップ。

前回王者の日本は勝たなければいけなかった。

だけど…結果はトーナメント一回戦での敗退。


これには、正直参った。


思えば去年のW杯で敗退が決まってからも受け入れるのに相当な時間がかかったし…いや、未だに受け入れられていないかもしれないけど。

多分今回も時間が解決してくれるような事じやない。だから立ち止まらずにもがき続けるしかない。

もがき続けた先に何か答えがある事を信じて、また頑張るしか俺たちにはないんだと思う。








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ドイツに戻って、またクラブと合流して数日。

トレーニングを終えて着替えてると、携帯にメールが届いた。


"長谷部さん、急で申し訳ないんですが、今日お時間ありませんか？"


久しぶりの彼女からのメール。

なんだろう？と思いながらも、特に用事もなかったし俺は大丈夫ですと返事をした。









「…今日は暖かいな」



彼女の働く店の隣にある植物園。

2月だというのに柔らかな日差しが温かくて。

俺はベンチに座りながら空を仰ぐ。




「長谷部さん」



少し急ぐ足音と一緒に聞こえた声。

ゆっくりと振り向いたら、彼女が小さく手を振りながら近づいてきた。



「すみません、急にお呼び出しして。長谷部さん、お忙しいですよね」



そう言って頭を下げたあと、彼女が少し乱れた髪を直す。



「あの、これ、よかったら」



言葉と一緒に差し出された箱。



「ケーキ、焼いたんです。チョコレートの」

「え？ケーキ？」

「はい。先月お誕生日だったでしょう？」

「えっ…」



確かに先月誕生日だった。

アジアカップ真っ只中に。

だけど彼女が知ってるなんて思いもしなくて。

まして、俺にケーキを焼いてくれるなんて思いもしなくて。


ケーキの箱を見つめたまま、思わず固まる。

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