愛しのあの子はドーナツ屋。 (ページ45)

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大好きな君。ページ45

震える背に手を回して優しく撫で、もう片方の手でカタクリ君のストールに埋まった頬を撫でて顔を覗き込む。

『助けに来てくれるって信じてたけど、君を不安にさせて傷つけちゃってごめん。
助けてくれてありがとう、凄くかっこよかった。』

カ「そんな子供をあやすような言葉で納得できるか。」

『えーだめかな、これでも凄くドキドキして言ってんだけどなぁ。』

カ「……Aが結婚すると言ってくれれば喜ぶかもな。」

『もう、すぐそう言うねぇ。意地張ってたのと疑ってたのもあって言わなかったけど、約束守って逢いに来てくれて嬉しかった。
大好きよカタクリ君。』

額を合わせて内緒話をするように呟くと、カタクリ君は大きく目を見開いた後また目を細めて可愛らしい顔で笑った。
大きくなっても君の可愛らしさは変わらないな。

カ「俺もAが好きだ、初めて出会った日からずっと。
これから俺と共に居て欲しい、結婚してくれるな？」

『それとこれとはまた別、まだお互いの事よく知らないし。』

カ「…ここまで上げておいて、鬼か。」

『仕方ないでしょ、お付き合いって大事だよ？
結婚してからやっぱり、なんて言われて離婚されたら嫌だもの。』

カ「俺がAを嫌になるわけないだろう。」

『男はみんなそう言うって本に書いてた。』

カ「くっ、あと一歩のところで…！！」

本気で悔しがって天井を仰ぐカタクリ君は面白いが
お付き合いって少し憧れてたから私は今後が楽しみだけどなぁ。

『これからもっとお互いを知って、本当に心から愛し合えたら結婚しましょう？』

カ「…そう易々と落ちる女ではないか。
仕方ない、俺の愛をしっかり受けてもらうから覚悟してくれA。」

挑発的に片眉を上げてニヤリとするカタクリ君は、私の知らない男の人の顔でドキリとした。
私ばかりドキドキさせられて悔しいから、ストールから少し覗いた口端にキスしてやった。