愛しのあの子はドーナツ屋。 (ページ26)

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色とりどりのサングラス。ページ26

気を取り直して落ちないように、降りないようにガッチリギッチリ抱かれたまま私はカタクリ君の解説を聴きながら街を歩き回っている。

目線がスゴすぎるので早く降ろしてくれないだろうか、降ろしてくれないだろうなぁ。

カ「A、あそこの眼鏡屋なんてどうだ？」

『…カタクリ君の視力どうなってるの？私眼鏡屋さん全く見えないんだけど。』

カ「前髪で視界が悪いから、Aの視力が下がってるんじゃないのか？」

『まぁそれも一理あるけど、度の入ったサングラスとかあるかな。』

カ「無ければ作らせればいい。」

『うん、あの…ないものはないでいいからね？
あったら嬉しいけど…！』

さも当然と言わんばかりに真顔で言ってのけるカタクリ君にドギマギしてしまう。
いや、さっきから暴走が激しいからさ…。

カタクリ君の言っていた眼鏡屋さんに入ると、小柄で可愛らしいお婆様がにこりと優しい笑顔を向けてくれる。

「いらっしゃいませ、カタクリ様がいらっしゃるなんて珍しい。」

カ「あぁ、俺じゃなくこの子が必要でな。」

「あらそうなの？お嬢さんこんにちは、今日はどんなものをお探しで？」

『えっとあまり目を晒したくないので、人から目を見られないようなサングラスとか有りますかね？』

「あぁ、日に弱い瞳の人もいるものね…ふふふ、貴方はそういう感じでもないようだけど。」

意味深に笑ってお婆様は席を立ち、店の奥側の棚に歩き出したのでその後を追う。
彼女が歩みを止めた棚には黒ばかりではなく色の着いたレンズの可愛らしいサングラスまで、幅広く置いていた。

『すごい、かわいいのもたくさん。』

「女の子ですもの、オシャレもしたいわよね。
さぁ好きに見ていってね。」

ニコリと笑ってそばの椅子に座ったお婆様に会釈して、私は少し浮き足立った気持ちでキラキラ可愛いサングラスたちを見た。