愛しのあの子はドーナツ屋。 (ページ23)

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謁見です。ページ23

ちょっと引き気味な住民の方を華麗にスルーしてカタクリ君は私を連れたまま大きな扉の先、ホールケーキ城へ入っていった。

城の中にはポーンの頭をした兵の方々がズラリと並んで、揃った動きでカタクリ君に対して敬礼をした。

「カタクリ様！ママがお待ちです！急ぎお客人を連れ謁見の間へ！」

カ「分かっている、下がれ。」

「はっ！よろしくお願いします。」

『…ママと言うことは、女王様？私お土産手作りのドーナツしかないんだけど。』

カ「Aのドーナツがあれば他なんていらない。」

めちゃくちゃ即答で返されてしまった、本当にこんなので満足してもらえるんだろうか。
いや、まぁうちの自信作だし冷めても美味しいし、油っこくならないドーナツにはしてあるけど。

うぅん、なんてドーナツの入った箱を眺めていると地面に下ろされカタクリ君に背を押されて部屋に入った。

カ「ママ、カタクリだ。連絡した通りドーナツ屋を連れてきた。」

リ「あぁ、お前が少し前に言ってた娘か。」

『…えっとご紹介に預かりましたAです。
こんにちは女王様、こちら私が焼いたドーナツです。お口に合えばいいのですが。』

女王様にドーナツを献上すると、女王様は匂いや見た目などを見たあとパクリとドーナツを一口で放り込む。
女王様すんごい背が高い美人さんだなぁ…。

リ「んー！おいしい！冷めているのに油っこくもない！甘過ぎずいくらでも食べられるドーナツだねぇ！」

『お口にあったようで何よりです。』

リ「Aとか言ったね。確か昔からカタクリが大きくなって強くなったら嫁にしたいと言っていた女の名前と同じだ。」

カ「あぁ、まさしくこの娘が俺が結婚したい相手だ。」

『カタクリ君、ちょっと静かにしてて。』

大きな背を丸めてこちらを覗き込む女王様は、ぱちぱちと目を瞬かせたあと。私の前髪をサッとあげた。