愛しのあの子はドーナツ屋。 (ページ22)

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島に到着する。ページ22

船の旅を続けること4日目、甘い匂いに誘われて甲板にでるとフワフワの綿あめが空から降り始めていた。
ようやく揺れる船にも慣れてきたと思っていたけど、そろそろ上陸するらしい。

そういえば丘から見たあの可愛いタルトの船はカタクリ君が乗ってきたものだった。私もこれに乗ったわけだけど、なるほど島を見るに本当にメルヘンな国な様。

『はぁー…見渡す限りお菓子の建物ばっかり。
道までお菓子とは畏れ入る。』

カ「A、こっちだ。」

『もうついたの？船は早いねぇ。』

カ「あぁ、猫車と俺が担いで走るのどっちがいい？」

『なんて？？』

至極真面目な顔で巫山戯てくるカタクリ君をどうにかして欲しい。いや、…この色巫山戯てない。
だとしたら重症だ、ここ十数年で拗れすぎてて面白いなこの子。

『取り敢えず、何処まで走るつもり？』

カ「あそこの1番背の高い建物。ホールケーキ城だ。」

『…かなり距離あるからカタクリ君でも疲れるよね
猫車ってのに乗っていこうかな。』

カ「わかった、では行こうか。」

『うん？…なんで抱き上げた？分かったんだよね？』

カ「あぁ、要は俺が疲れなければいいんだろう？
歩いて行けばいい。
その方がAに首都のスイートシティも案内出来るからな。」

聞いた意味ないだろと多分その場にいた部下の方々も思ったはずだ。そういう色してるもん。
カタクリ君だけは得意げにドヤ顔をしてるわけなんだけど、もうなんでもいいよ。

小さくため息をついたのを肯定と取ったのか、カタクリ君は楽しそうなオレンジを発しながらそのままずんずんと歩き始めた。
まぁ3mの視界なんて滅多に味わえるもんじゃないし、カタクリ君が飽きるまではいいか。

街の中もカタクリ君に担がれてと言うか、抱かれて歩いてるので物凄く住民の人に見られる。
カタクリ君はやっぱりかっこいいので人気らしい。

「カタクリ様！そちらの方はどなたです？妹様？」

カ「いや、俺の未来の嫁だ。」

『うん、違うよ？私はただのドーナツ屋さん。』

カ「違くない、Aが結婚すると言えば俺は何時でも結婚するつもりだ。」

ポンポンと頭を撫でられながらも、じとりと睨まれる。うーむブレないなぁこの子。
話しかけてきた女性もちょっと引いてるよ？
君完璧をめざしてるんじゃなかったかな？