愛しのあの子はドーナツ屋。 (ページ20)

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荷造り。ページ20

どんちゃん騒ぎで終わったカタクリ君の誕生日パーティー、その名残に父さんとカタクリ君は未だにリビングで二日酔いに唸ってる。

カタクリ君もお酒が飲める歳になったんだなぁ、いや海賊だからきっと前々から飲んでいたんだろうけど。

「全く男どもは情けないなぁ！ほら、チャキチャキお風呂入ってくる！カタクリ君、今日出発するんでしょ？」

カ「ゔ…そのつもりだ。頭に響くから大きな声は辞めてくれ。」

「うちの奥さんは朝から元気だなぁ、あ"ぁ頭痛てぇ。」

『ふふ、カタクリ君がちゃんと歩ける様になるまでに荷物まとめて来るよ。』

青い顔で頭を抑える姿が見慣れなくて面白いなんて言ったら怒られるかなと思いながら荷物を詰めに部屋に戻った。
持っていくものは着替えや日用品の他に一応頭に叩き込んであるドーナツのレシピ、新しい着想があるかもしれないから念の為に。

『うぅん、小旅行みたいな荷物だな。ほかになにか持ってくものあったっけ。』

カ「このぬいぐるみとかはいいのか？A。」

『流石に22の女が持っていくのはね…ってカタクリ君いたの！？しかも髪濡れてる！風邪ひくよ？この島今冬って分かってる？』

カ「あぁ、能力者になってから風呂上がりは怠くてな。それに冬だろうと別にこの位は寒くない。」

『…やっぱり特殊訓練でも受けたの？
ほら、拭いてあげるからおいで。』

部屋の扉に寄りかかってこちらの様子を見てるカタクリ君を呼んで、私より随分大きくなった背に回る。
…私立たないと頭に届かないな。

カ「ここはいいな、誰の目も気にせず過ごせる。少しくらいだらしなくとも誰にもバレない。」

『そうだね、私といる時くらい完璧じゃなくていいんじゃない？甘やかしてあげますよ。』

カ「フフ、いいのか？期待するぞ。
Aと会えなかった十数年分甘えちまうかもな。」

嬉しそうに柔らかく微笑むカタクリ君は、幼い頃にみた笑顔に似てる。イケメンの癖に庇護欲まで刺激してくるとは、恐ろしい子だな。