愛しのあの子はドーナツ屋。 (ページ2)

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出会いましょう。ページ2

あれは私が10歳の頃の話。
私は国の中でも稀に見る反転目で、更には心情まで見通してしまうから国の子供達はみんな私を気味悪がって近寄らなかった。
父と母はそんな私を元気づける為に、いつも美味しいドーナツと紅茶を淹れてくれる。

その頃の私はやさぐれていたものだから外にも出ないで両親の指導によって磨かれたドーナツ作りの才能を活かして、毎日店の手伝いをしてたな。

そんなある日の事だ、たまたま私は気分転換に自分の作ったドーナツを持って海の見える丘に向かったが先客がいた。
その先客の背中は深い哀色と赤色で、深い悲しみと怒りも混じった色をしていた。

「あ？…誰だよ、ここは俺が見つけた場所だぞ。」

『あ、えっと…私はA。
そこは私のお気に入りの場所でもあるの、隣いい？』

「……好きにすればいいだろ。」

『ありがとう、…あの甘い物好き？』

「はぁ？まぁ、好きだけど…なんだよ。」

『よかった！これどうぞ！
不味くもないし、毒も入ってないから安心して？』

いそいそと私が紙袋から取り出したドーナツを半ば押し付けるように渡すと、その子は困惑した顔をしながら受け取って私の顔とドーナツを交互に見た。

あ、毒も入ってないとか言っても信じられないか。
普通知らない人に食べ物を貰ったら警戒するよね。

そう思いなおし、自分も同じ袋から取り出したドーナツを齧って隣に座る男の子にニコリと笑って見せた。
すると男の子も恐る恐るといった様にドーナツを1口齧ったあと、目を輝かせて一気に口に詰め込んだ。

「うまい！うまいなこれ！どこで買ったんだ？」

『ふふ、それは私が作ったの。喜んで貰えて嬉しいな。』

「お前が作ったのか！？凄いな、兄弟にも食わせてやりてぇ。いやアイツらにあげんのは勿体ない気もする。」

『そんなに気に入ってくれたなら、また沢山作ってくるよ？兄弟は何人いるの？』

明るいオレンジ色を発してる男の子に嬉しくなって、興味本位と良心で聞いてみると。
考えるようにしてその子は指折り数えていく。