【ジョジョ】国際電話の向こう側【花京院典明】 (ページ11)

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10call 金平糖ページ11

学校帰り、金平糖の売ってる駄菓子屋を見つけた。ふらふらと歩いていたとき、懐かしい匂いにそそられた。

「そういえば、典明くんと小学生の頃、よくこうやって駄菓子屋来たなあ」

***

「花京院くん、今日なに買う？」
「うーん、まだ決めてないよ」
「わたしね、今日二百円持ってきたから大人買い出来るの」

駄菓子屋での金銭感覚はいい意味でよく狂う。二百円も持っていたら、それは自分の好きなお菓子を大多数買えると同意義なのだ。

「ぼくと同じだね。雨宮さんは、なに買う？」
「んー…何にしよう」

目に映ったものは、きらきらと輝く金平糖だった。所謂、量り売りというやつで、見つけたときは目が輝いたのが自分でも分かる。

「花京院くん、こんぺいとうはどう？」

花京院くんにそう尋ねると、彼の紫の双眸は、綺麗に輝く。

「いい案だ。きみとぼくの二百円で、まとめて買うかい？」
「それっていっぱい買えるってことだよね、もちろん！」

駄菓子屋のおばちゃんに四百円分の金平糖を計ってもらうと、それを紙袋で二人分もらった。

結論から言うと、金平糖は多かった。正直に、味にも飽きたし、最初こそは大事に大事と食べていたが、気がつけば消費の為に多量に口に放り込んでいた。

「花京院くん、こんぺいとう終わった？」
「いいや、まだまださ。思っていたよりも多くてね」

花京院くんは苦笑いすると、本を閉じて机に肘をかける。

「申し訳ないが、飽きてしまって」
「ただ、なんか捨てられないし、人にあげる気にもならないよね」

そう。わたしも花京院くんも人にあげたり捨てたりせず、コツコツと毎日食べている。

***

「雨宮さん、金平糖、食べ終わったかい？」
「うん、つい昨日食べ終わったの」

特別なモノだった。食べ終わるのが惜しくなっていたのだ。

わたしと花京院くんは、同じことを考えていたと数年後知ることになる。

花京院くん、わたしね、この時からきっと君が特別な存在だったんだと思うの。