八話 ガラスの輝き、私のオモイ ページ9
手応えがあった
手にかかる矢の重み、風を切る音
その全てがいままでにない位気持ちのいいものだった
その矢は扉に引きつけられるように一直線に飛んでいった
まぐれか七のおかげか鍵穴を射て鍵を壊すことができた
「願すげーな」
そう私の手を離しながら感心するように言った
「七...？」
そう私は七の名前を呼ぶ
七の目が私を真っ直ぐ見る
「これ賠償金いくらかな？」
「いやいまそれどころじゃねぇだろーが」
呆れたように笑う七が、なんだかんだ言って私を心配してくれる七が大切だからこそ...
二人で帰らなきゃいけないんだ
七だけが生き残っても、私だけが生き残ってもどちらが泣く結果になるのは嫌だ
絶対二人で笑うもとの場所に戻るんだ
「とりあえず開いたわけだしなかに入っちゃお！」
そういって七よりも先に操縦室に入る
そこには誰もいなくて
ただ誰も操作していないのに機械が動いていた
「なっ...」
心臓がドクン...と大きく鳴った
嫌な汗が流れる
「願！目を閉じろ！落ち着け」
頭を押さえられ七に抱きつくかたちになる
それでも足はがたつきいままでにあった気味の悪い出来事が一瞬で流れ来るような感じがした
「落ち着け...落ち着いてくれ」
そう弱々しい声で我に返った
下をみると七の足も震えている
「もう...大丈夫」
そういい七から離れる
しっかりしなくちゃ...七ばかりに甘えているから
雰囲気を変えなくちゃ
不安になってしまう
「このレバーみたいなやつ下ろしたら元の駅に戻れるかな？」
七が驚いた顔を一瞬したがすぐに笑った
「どうだろうな...下ろしてみようか」
七がレバーに手をかけた
そうして下に下ろすとフロントガラスが割れた
「七っ！」
とっさに体が動いた
なにも考えないで七を操縦室の扉の方へ押し出した
ごめんね
二人で帰らなきゃ意味がないってわかってるのに
二人で笑うもとの場所に戻らなきゃ意味ないのに
二人じゃなきゃダメなのに
私がまた変なことを言い出したせいでこんなことになっちゃった
七が私に手を伸ばす
それが嬉しかった
なんだかこの電車にのってはじめて"私"を見てくれた気がした
時がゆっくり流れている気がする
ガラスの破片が光に反射してキラキラ光っている
ゆっくり私の体に向かって落ちてくるガラスはまるで日に光る雫のようだった
言いたいことがまだ言えてないのにいざこうなると一言しか出てこなかった
《ありがとう》
どうかこの沢山の思いが詰まったこの言葉が貴方に届きますように
九話 思想が乱れる、事実は何処へ？→←七話 孤独の寂しさと、二人の喜びと
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燐(プロフ) - 架空夢想像さん» 早く気よ向けっ！ (2015年7月12日 11時) (
レス) id: 7ae0e795be (このIDを非表示/違反報告)
架空夢想像(プロフ) - 燐さん» 気が向いたら更新しまーすw (2015年7月12日 6時) (レス) id: d18e4db244 (このIDを非表示/違反報告)
燐(プロフ) - 良い所なのにっ（泣） (2015年7月12日 1時) (レス) id: 7ae0e795be (このIDを非表示/違反報告)
架空夢想像(プロフ) - 嶺華さん» 気にするなっ！www (2015年5月1日 0時) (レス) id: d18e4db244 (このIDを非表示/違反報告)
嶺華 - 赤いミートソース気になるw (2015年4月30日 23時) (レス) id: 7ae0e795be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：架空夢想像 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kakuumusou1/
作成日時：2015年4月25日 23時
