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七話 孤独の寂しさと、二人の喜びと ページ8

「チッ...」

扉を開けようと深呼吸したはいいが鍵がかかっているのか開く気配がしなかった

「ってかお前も手伝えよ!」

えっ私?と言わんばかりの顔で俺を見る

「私女の子だよー?全く...常識がわかってないなぁ」

そういって立ち上がりスカートのシワを伸ばす願

そして俺の隣で一緒に扉を押す

...と思ったら扉に背をむせて歩きだした

「うぉぉぉい!!おまっ!どこ行くんだよ!?」

願いはくるっとまわり笑顔で俺の方を向いた
その笑顔がまた"誰か"と重なった

「秘密兵器とってくる!」

とても愛おしいのに思い出せないような誰かの姿が頭から離れない

頭を掻きドアに背をかけしたに座る
自分をバカにするように鼻で笑う

「俺って...最低だな」

願がいなくなったこの車両は俺の不安を大きくさせた
この不思議な体験をしてはじめて不安になった


「おっ!あったあった!」

いま願はもともといた車両に戻っていた
置いてきた荷物を取りに戻ったらしい

「七のカバンももっていこーっと」

二つのカバンを持ちふと目に入ったスマートフォン
遠くにあったが背筋に寒気が走った

液晶画面はヒビがはいっていた

ザッ...ザーッ

すなあらしのような音がスマートフォンから聞こえた

怖くなって願は荷物を持ち必死に走った
足にツタが絡まったようにうまく走れない
車両間が伸びたように感じた

走る中で七のいる車両が見えた瞬間足が軽くなった

「七っ!」

まるで子犬のように七にとびついた

「うぉ!?」

それを七は受け止める
体格は違くても七は私の全てを受け止めてくれることはわかってた

「んじゃパパーっとこのドア破っちゃお!」

七が行動の変化についてきていないようだったが気にしない
勢いでも抱きついたのは少し恥ずかしい

願は弓を取り出した
こう見えても一応弓道部
上手いとは言えないけど大きい的なら当てられるはず

弓を構えるがさっきのスマートフォンの恐怖で狙いが定まらなかった
手が震え上手く思うようにいかない

こういう時に限って矢が一本しかない
冷や汗が願のこめかみをつたう

その時願の手に暖かく大きい手が重なった

「落ち着け」

七が私にかぶさるように一緒に構える
いままでの緊張が嘘みたいだった

七の吐息が耳にかかってくすぐったい
でもこの距離で居られるのがすごく嬉しくて幸せだった

幸せをかみしめるように深呼吸をして
私達は矢から手を離した

その矢は力強く、ドアに向かって一直線に放たれた
いままでの中で一番いい軌道だった

八話 ガラスの輝き、私のオモイ→←六話 賭けるなら、欠ける運命を



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設定タグ:TRPG , クトゥルフ , きさらぎ駅   
作品ジャンル:ホラー, オリジナル作品
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(プロフ) - 架空夢想像さん» 早く気よ向けっ! (2015年7月12日 11時) (レス) id: 7ae0e795be (このIDを非表示/違反報告)
架空夢想像(プロフ) - 燐さん» 気が向いたら更新しまーすw (2015年7月12日 6時) (レス) id: d18e4db244 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 良い所なのにっ(泣) (2015年7月12日 1時) (レス) id: 7ae0e795be (このIDを非表示/違反報告)
架空夢想像(プロフ) - 嶺華さん» 気にするなっ!www (2015年5月1日 0時) (レス) id: d18e4db244 (このIDを非表示/違反報告)
嶺華 - 赤いミートソース気になるw (2015年4月30日 23時) (レス) id: 7ae0e795be (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:架空夢想像 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kakuumusou1/  
作成日時:2015年4月25日 23時

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