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35話 昔話 ページ37

当時のことを振り返ってみても、Aは不思議な子だった。

鬼に襲われそうになっても逃げもせず、ただ喰われる瞬間を待っていたんだから。




『危なかったね、もう大丈夫だよ』

『………』



不思議そうに私を見るA。
怯えもせず、泣きもしない彼女に私は驚いた。



『……怪我はしていないかい?』

『……して……』

『……え…?』

『どうして、助けたの?』



鬼を見ても怖がらなかった彼女が、私を睨んでそう言っていた。
言葉の意味も、なぜ睨んでくるのかも分からず戸惑っていれば、「……いいよ」と彼女は呟いた。



『…その刀で刺して』

『え…だ、誰を?』

『……私』



自分を刺してくれという彼女は、なぜか悲しそうな顔をしていた。
それを見た私は「できないよ」と彼女の前にしゃがんだ。



『どうしてそんなことを言うんだい?』

『……死にたいから』

『……(死にたいから、か)』



命を軽く見てるとか、こんな小さな子が死にたいなんて言うな、なんて言葉は意味がない。
この子はもう十分、自分がしようとしていることを理解しているんだろう。



『……私はいないほうがいいの』

『……』

『……“化け物”は退治されるんだよ。だから、私も死ななくちゃいけないの』

『その“化け物”は君の事かい?』

『そうだよ。私は悪者なんだ、だから早くやっつけてほしいの』



子どもの戯言だと思えばそれまでだ。
けれど、彼女が冗談でそんなことを言っているようには見えなかった。

だからと言って、言われた通りにするわけにもいかない。


迷った末、私は彼女にこう言った。





『……着いておいで』









36話 きっかけ→←34話 柱合会議



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☆りんご☆(プロフ) - 妖精・ナルルさん» コメント返信遅くなりごめんなさい! 炎炎ノ消防隊をYouTubeで見ていて閃いた物語なんですが、喜んでいただけて嬉しいです! 不定期更新ですが、完結できるよう頑張ります! (2020年4月15日 0時) (レス) id: b4140779db (このIDを非表示/違反報告)
妖精・ナルル - わーい!!私が大好きな炎炎ノ消防隊と鬼滅の刃のコラボ!! (2020年4月2日 18時) (レス) id: 428de63203 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:☆りんご☆ | 作成日時:2020年1月28日 18時

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