プライベートを隠すのは〔赤〕*

24. ページ24

.








川で遊んだから疲れただけ。




身体が冷えてしもたから風邪引いただけ。








そう思ってた彼女の熱は一向に下がらず、むしろ日に日に苦しそうに見えてきた。








.








「この前さ、帰りに寄ったら1個見つけたんやで？」








そう言いながら、枕元に並んだ石にまた1つ追加する。




それを見て、以前よりもずっと弱々しく微笑む彼女。








仕事の帰り、休みの日、買い物の途中、




この数日間だけで2個も見つかって、気付けば6個になってた。








それと同時に、彼女からもらった勇気でいろんな人に交渉を続ける毎日。




7人でデビューすることを諦めたくない、




3人を、どうか同じグループにして下さいと。








もちろんすぐにはいい答えなんて貰えんかったけど、




間違いなく今は折れたくない気持ちが強いし、絶対に負けたくなかった。








.








A「ごめんね、大毅くん… 石も、ありがとう」


「ぉん。なんも気にせんでええよ」








洗濯も食事も、俺が担当するようになった。




たった数ヶ月やけど、彼女に甘えすぎてたなあってことには結構反省。








無理させたあかんかったのに、俺のせいでしんどくさせてたかもしれんとさえ思うから。








それでも彼女の喜ぶ顔が見たいただ一心で、仕事もプライベートも何もかも、彼女のために頑張った。








.








.








そして、








ついに許された7人でのデビュー。








夢見たいな現実に俺自身も信じられへんかったし、




外されてた3人なんて崩れ落ちるみたいに泣いてた。








嬉しい、どないしよう、シゲありがとう、言うて。




それだけで、頑張って良かったと思える。








.








けど、ここまで来れたのは紛れもなく、




彼女が励ましてくれたおかげや。








.

25.→←23.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す