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33話 (夕月 陽奈) ページ34

時は数時間遡り、横浜の某所。
ポニーテールにした赤みの強い茶髪を揺らしながら、成海は目を俯かせ歩いていた。
彼女の姿の凶悪さに、自然と人が避けていく。

(……あぁ、今すぐ異能使って暴れたい)

デカデカとJapan's bestと描かれたTシャツを手で握り潰して、成海は無意識下の中ひと気の無い道へと進んで行く。
その姿は宛ら敵を求め、街を徘徊する夜叉。──現に数回、今日だけでも成海は軍警からの職務質問を受けていた。

ふと、鼻を突いた匂いに、成海の唇が歪む。
何度も嗅いで、浴びてきた、鉄に似た──そう、血の匂い。

成海の目から光が消える。この様な時間帯に血の匂いならば、確実に裏の組織の何らかの行動だ。
ゾクゾクと、何かが成海の背を這う。
すぐに匂いの元へと走り出した。
裏路地の、開けた場所。表通りから可也入り組んだ場所に、其れはあった。

血に濡れた、沢山の死体。

「〜〜ッ!」

歓喜に歪む成海の顔。其の場にまだ生きた人が死体の向こう居る事に気付き、成海は其の手に服に仕込んであったナイフを取り出す。
相手は数十名。機関銃を持つ黒服達と、其れを従える者らしき人間が1名。

「あ? ……目撃者か」
「立原様、如何致しましょう」

そして、其の一人の姿に、成海は目を見開いた。

「みち、としさん?」

己の育て親……、父代りに似た其の男の姿に、成海は呆然と呟く。目の色と、髪の色に違いはあれど、その姿は成海の義理の父、満利であった。

(いや、違う、あの人は、私が──)

先ほどとは違う感覚が背を這う。そして、思考を麻痺させた。頬が紅潮し、唇が勝手に笑みを作った。

「【絶痛絶句】」

異能を発動させ、其の男以外全員を気絶させた。ただ、2人きりで話したいと思ったのだ。

「! ……異能力者かっ」

彼の目に警戒の色が浮かぶ。其の姿すら、あの人にそっくりで。
成海は、彼に向かって飛び出した。

彼女らの戦いが幕を開けた。

銃声。ナイフが風を切る音。

無意識に手加減していたとはいえ、成海の身体は傷だらけだった。白く柔らかな頬に銃で出来た傷が浮かぶ。

「貴方の名前はっ?」
「黒蜥蜴十人長、立原道造だっ!」
「私は大庭成海だよっ」

異能は使わず、ぶつかり合う。脚にも傷が浮かぶ。神経が伝えるその痛みすら、今は己を動かす原動力であった。
成海の思考が、徐々に削られていく。今あるのは、明確な想い一つだけであった。


──彼を、殺したい、殺されたい。そう、今すぐにでも。


___

文字数ェ。

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神羅(プロフ) - おわりました! (2017年8月15日 1時) (レス) id: a22dd21ad8 (このIDを非表示/違反報告)
神羅(プロフ) - 更新しまーす (2017年8月15日 0時) (レス) id: a22dd21ad8 (このIDを非表示/違反報告)
孝花(プロフ) - 更新終わりました (2017年8月13日 14時) (レス) id: 5379db6fdf (このIDを非表示/違反報告)
孝花(プロフ) - 更新します (2017年8月13日 13時) (レス) id: 5379db6fdf (このIDを非表示/違反報告)
( ^ω^レヴィア・ヴァルキュリア)(プロフ) - 終わりました! (2017年6月10日 18時) (レス) id: 432247cb79 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:異能組織協力団 隠月 x他13人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2016年12月4日 16時

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