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17話 (夕月 陽奈) ページ18

茶色い蓬髪のこれまた茶色い外套を着た男。

胡散臭い笑顔を浮かべる目の前の男が、時雨君に【完 全 自 殺 読 本】なんてものを貸した人間だと、時雨君の様子で理解した。

「これは、美しいお嬢さん」

私は、返事の代わりににこりと微笑んだ後、数メートル距離をとった。
連れだろうか、周りの男達に訝しげな顔をされたが気にしない。

「アンタね? 時雨君に本を貸したの」
「態々届けに来てくれたのかい? それは……」

それ以上云わせてたまるか、と私は男の顔を見ながら呟いた。

「痛みに呻け、絶望しろ。異能力【絶痛絶句】」

私の掌から、鈍く輝く文字が浮かび、男に絡みついた。
そして、男の顔面めがけて回し蹴りを食らわす。

だが、

「ん? なんで苦しまないの? いつも、これ受けると、筋肉が縮小したりすることだけで屈強な奴らがぶっ倒れるのに」

男は、腕で私の足をガードしていた。
男が痛みに苦しむ様子など、微塵もない。

自分の異能に異常が起きたか? と、足を降ろして距離をとってから、店の外にいた適当な男に異能を発動してみる。

痛みに耐えきれず、その男は前のめりに倒れ、顔面を打ち付けたショックで泡を吹いて気絶した。

辺りに女の金切り声が響く。

どうやら、私の異能に異常が起きたわけではないようだ。
だとしたら、彼奴は痛覚を感じない人か痛覚を極端に我慢できる人か?

時雨君に「大庭さん……」と云われたので、しょうがなく解除する。

さっきは気にしなかった連れの一人と思われる金髪眼鏡は、急いで外に出て行った。

男に呼びかけている辺り、俗に云う『良い人』なのだろう。

「ま、どうでもいいや」

私の手でこの茶色外套を処すことが出来ないのなら後で完全武装でもして暗殺してやる。

「君は……」

茶色外套は何か云いたげだが、私はその後ろの前髪を斜めに切って茶漬けを死ぬほど食べている少年の方に目が行った。

……可愛い。

しょうがない。男を暗殺するのはやめておこう。

「時雨君、本を返しちゃお。んで帰ろう」

つばめちゃんいつの間にかいないし。

時雨君が手渡したのを確認し、私は彼の腕を優しく引く。

つばめちゃんマジどこ行った。

「なんで、私の異能効かなかったのかなァ」

今度、つばめちゃんに聞いておこう。


________


本、返しちゃったけど、大丈夫でしたでしょうか?

何かあったら、教えてください。

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神羅(プロフ) - おわりました! (2017年8月15日 1時) (レス) id: a22dd21ad8 (このIDを非表示/違反報告)
神羅(プロフ) - 更新しまーす (2017年8月15日 0時) (レス) id: a22dd21ad8 (このIDを非表示/違反報告)
孝花(プロフ) - 更新終わりました (2017年8月13日 14時) (レス) id: 5379db6fdf (このIDを非表示/違反報告)
孝花(プロフ) - 更新します (2017年8月13日 13時) (レス) id: 5379db6fdf (このIDを非表示/違反報告)
( ^ω^レヴィア・ヴァルキュリア)(プロフ) - 終わりました! (2017年6月10日 18時) (レス) id: 432247cb79 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:異能組織協力団 隠月 x他13人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2016年12月4日 16時

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