大好きな君に 【数字松】 ページ1
いつものように、屋根の上で日向ぼっこをしていたある日。
「魚」
ボソリと十四松が呟いた。
その聞こえるか聞こえないかの声に、隣を見る。
十四松は、空を見上げていた。
俺も空の魚を探すため上を向く。
「...微妙」
確かによく見たら、魚の形をしているように見えるかもしれない。
でも、どっちが頭かわからない。
「魚だよー!!右が頭!!」
腹が減っているのか、じぃっとその雲を眺めている
だんだん形が崩れて、魚とはもう呼べない形になってもずぅっと眺めている。
空の向こう彼方遠くまで、消えていったとき
ぐるんと十四松が僕に振り向いた。
「な、なに...」
びっくりした、ほんとに、息が止まりそうになるほど。
十四松は、僕に言った。
「どこにも行かないでね。一松兄さんは、ずっとそばにいてね。」
柔らかいあの笑顔だった。
僕の心を溶かしてくれる、そんな暖かい笑顔。
「行くわけないだろ。だって...」
思ってたよりも声が大きくなって、気恥ずかしくなりながらも声を絞り出す。
「...お前のこと、だ、いすきだから...」
ちゃんと伝わってるかなんて、考える暇もないくらい顔が熱い。
「ありがとう兄さん。僕もね、一松兄さんのこと、大好きだよ!!!」
そういった十四松を見ると、彼も幸せそうに笑っていた。
大好きな君の笑顔が見たいから。
君に笑っていてほしいから。
どこにもいかないよ。
繋いだ十四松の手はとても暖かった。
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作者名:わんどーる松 | 作成日時:2017年1月29日 19時