過去と今と未来と

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目黒が再び起きた時には目隠しはされておらず、腕には点滴、首元にはガーゼで病院のベットの上だった

栄養失調になっていたらしい

約一ヶ月もの間、誘拐されていた
不審者は前々から目黒をターゲットにしておりその為度々目黒に住む場所に現れては消え、を繰り返していたが、自分のものにしたいという気持ちが大きくなり誘拐をしたということだった

目黒が病院で目を覚ました時も夜だった
近くには誰もいなくて、また恐怖が襲った
一人でパニックになっていて、両親が駆けつけてきた時には今までの恐怖が消え涙が止まらなかった
いつもは恥ずかしがって甘えたりはしないが、パニックになると両親を頼った

恐怖の原因となる誘拐から少し時間が経つと、頭に流れてくる映像が変わってきた


今までは真っ暗な世界に何人かいて自分の首元には刃物があった

それがだんだん
真っ暗な世界に何人もの人影、首元には刃物
人影の手元にも刃物が握られているようになった

次は刃物が目黒の方へ向き始め、その次になると目黒に近づいてきた
そこまで行くと目黒は過呼吸になっていた


更に首の傷は深くはなかった為、すぐに治った筈だったが、夜になるとその傷が痒くなり痛みを伴い始めた
首元に手を当て、苦しく息を繰り返す目黒は、その光景さえも自分の頭の中で流れ始めた


数年後、パニックはなくなっていた
しかし、首元の傷は消えなかった
その為、パニックにならなくても夜になると不安感や恐怖感を覚える日々は続いた


真っ暗な世界に何人もの人影があり、手には刃物、自分の首元には刃物が当てられていて
一斉に人影が襲ってきて
首を切られて息が苦しくなる


その光景は脳裏にこびりつき目黒から離れなかった

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