陽炎（かげろう） (ページ5)

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撮影の合間にこそこそしゃべったり笑ったりしてるニノと智。
なんかファンの子たちに大人気のこの組み合わせは、誘導され、
まんまと乗せられて智はニノの思う通りに動かされる。

それを面白がって余計に自分ではなんにも考えない智。

ニノは撮影の時も、取材陣に必ずサービスショットを提供することを忘れない。

じっとしてられなくて否応なく目立つ相葉さんや常に関心を集める翔さんと違って、
放っておくと隅っこで気配を消してしまう智を引っ張り出す。

「ほら、大野さん着替えにいこ？」

着替えのためにスタジオから出ていくときもわざわざ智と手を繋いで
取材陣に手をふって見せたりするんだ。
その後姿を見ながら俺も続く。智のために…まあ、それだけじゃないんだろうけど、
俺はあんなふうに見せるのは苦手かもしれない。

智を構いたくはなるけど、そんな二人がどんなふうに見られてどんなふうに撮られるか
なんて考えてない。

「マツジュン、なんか今日は大人しいね」
翔さんに後ろから声をかけられた。翔さんにも気づかれてたんだ…
「え、そうかな。…てか、俺はいつも静かでしょ。相葉さんじゃあるまいし」
「ええ～っ、何それぇ」
更に後ろから相葉さんの大きな声が響いた。
翔さんと俺の間に割って入って二人の肩を抱くように寄りかかってきた。
「相葉さん、重い。それにうるさい」
「なんだよぉ。マツジュン冷たい…」
「ははは」
相葉さんは甘えるみたいに翔さんに擦り寄り、
翔さんは自分より背の高い相葉さんの頭を笑いながら撫でている。

こんなふうに五人の仕事はこなされていく。
多少キツイ仕事だったとしても、みんながいれば楽しくやれる。

楽屋では次の衣装に着替え始めてる智たちがやっぱりふざけてた。
「ヤダってば」
ニノに何かされたらしく、智がこっちへ駆け寄ってくる。
迷わず逃げ込むのは翔さんの背中。
「翔くんっ」

ニノが意味ありげに俺を見て笑う。

もしかして顔に出てた、とか？ちょっとイラッときたからな。