陽炎（かげろう） (ページ32)

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３２　（Ｏ　side）ページ32

事務所に行くと、社長とチーフマネージャーが小会議室で待ってるからって言われた。

「おはようございます…」
ノックして、恐る恐る中にはいる。

「おはよう。朝早くから悪いねぇ」
社長ののんびりした声に続いて、不機嫌そうな低くて太い声。
「何で呼ばれたか、わかってるね」
目の前には腕を組んで難しい顔をしたチーフが立ってた。

「はい」

変にごまかそうとしたって、おいらじゃこの二人に太刀打ちできっこない。
だから、余計なことは言わないって決めてた。

「僕の不注意でこんなことになってしまって、本当にすみませんでした」

下手な言い訳なんてできないから、それだけ言って深々と頭を下げる。

「昨夜は病院に一泊したそうじゃないか。酔って怪我して入院だなんて、立派な不祥事だ。
自分の立場をきちんと理解していないからこんなことになるんじゃないのか」

いつになく厳しいチーフの言葉は、
日頃のおいらの態度を含めて言ってるんだってわかった。
今回のことをいい機会だと思ってるんだろう。

なんだかんだで、おいらは昔っから心配ばかりかけてきたからな。

「酔った自分の不注意だというのは、本当のことなんだな？」

「はい。今回のことは本当に反省してます。すみませんでした。
二度とないように気を付けます」

もう一度、深く頭を下げて謝る。