陽炎（かげろう） (ページ31)

今日:28 hit、昨日:5 hit、合計:158,895 hit

３１ページ31

マネにメールする智を横目に俺もメール…と思ったら、相葉くんとニノから
メールが来てた。
ふたりとも智を心配する内容のメールだけど、ニノのは昨夜のことを気にしてるみたいで
いつもよりぎこちない文面だった。何て返せばいいか考えあぐねて、
智を送ってくことだけ知らせた。

「マツジュン、どうかした？難しい顔して」
「そう？」
その時、智の携帯が光って着信を知らせる。
電話に出た智はだんだん元気がなくなり、返事も小さくなっていく。
誰から？って耳元で聞くと(チーフ)って口パク。ああ、これはお呼び出しかな。
案の定、電話を切った智が肩を落として呟いた。

「事務所に呼ばれた。なんか、怒ってるっぽい…」

だろうね。
翔さんの報告だと智が不注意で怪我したってことになるから、チーフの雷が落ちても
不思議じゃない。

「ほんとのこと言えば？」
「それはムリ」

柔らかい笑顔。でも、まったく譲る気はないって分かる真っ直ぐな眼差し。
まあ、いい年してマネに怒られるのは智だし、俺はいいけどね。

「せっかく送ってくれるつもりでいてくれたのにごめんね、おいらタクシーで行くよ。
マツジュンは夕方から仕事って言ってたっけ。あんまり寝てないでしょ、帰って休んで。
一晩中傍にいてくれてありがとね。嬉しかった」
そう言ってすこし恥ずかしそうに笑った。

一人でいこうとする智に、心配だからと言って事務所まで送った。
さすがになかまでついて行くのはやめにして大人しく帰る。
だいの大人が付き添いありじゃ恰好がつかないだろうし、
何より智は大したことないって事務所側にアピールしたいみたいだった。

「ありがと。じゃあ、明日ね」
小さく手を振り事務所へと消えていく智の背中を見送って、
翔さんに言っていたことを思い出す。

昨日のダンスチームってうちの事務所じゃなくて番組側が雇ったんだったっけ。
翔さん、もう動いてるかな。
メールするとすぐに返信が来た。

『今、調査中。すぐわかりそう』
やっぱりね。さすが翔さん、仕事が早い。

『わかったら教えて。俺に似てたってリーダー譲らないから、顔が見たいんだ。
お願いします』

そうメールして一旦家に帰った。