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「潤くんさ、この人に何か言ったよね」
「…何って？」
じろりと俺を睨んだニノは智の寝顔に視線を移してため息をつき、肩をすくめると
さらりと言った。
「好きだって、言ったのかって訊いてんの」
黙り込む俺に強い眼差しで問いかける。
「最近ずっとこの人の様子がオカシイんだよ。普段からぼーっとしてるってのに、
それに輪をかけてぼんやりすることが増えてる。翔さんだって薄々感づいてる」
「だったら、なに」
智からまだ返事をもらってない今、それについて誰かに話すなんて嫌だった。
素っ気なく返すとニノがキレた。
「仕事に集中できないんじゃ、いいわけないだろ。今日だって…
そのせいじゃないって言いきれんのかよっ」
「っそれは…」
智はそんなことで集中力を失くしたりしないと思う。…けど、俺がそう思いたいだけなのか？
「俺はね、大野さんが幸せだったら何でもいいんだ。
誰の傍にいようが、幸せそうに笑ってくれてたらそれが一番なの。
俺の幸せはこの人が幸せそうにしてることなんだ。でも、潤くんが告ったことで
この人が悩み苦しんでるなら、そんな思いをさせる潤くんにはあげない」
「…あげないってなんだよ。ニノのじゃないだろ」
「俺のだよ。この人は俺の大切な人だ。だから傷つける奴はそれが誰であっても許さない」
「じゃあ、なんで智があの人と別れた時に黙って見過ごしたんだよっ」
ニノの言葉に頭に血が上った俺はつい口走ってしまった。
「あの人って…潤くん、何を知ってるのさ」
冷静な声にはっとする。俺はまんまとニノに挑発されて、語るに落ちてしまったんだ。
「何って…」
「三年ぐらい前、この人、やたらわざとらしく明るく楽しそうにしてる時期があったんだ。
見てらんなくて、何とかしたくて、何度も声をかけたけど俺には何も言ってくれなかった。
翔さんもずいぶん気にしてたけど、この人、翔さんにすら何も言わなかったんだ。
なのに、潤くんはそれを知ってるっていうの？」
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作者名：ＡＫＩＲＡ
| 作成日時：2017年4月16日 11時
