陽炎（かげろう） (ページ2)

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「ニノ、もう時間だってさ。マツジュンも行こ？」
そう言って智はふにゃりと笑う。

「智くん、上着」
翔さんがこっちへやって来て智に上着を着せかける。
ごく自然にそれに袖を通した智は、翔さんと一緒に楽屋から出て行った。
それを追いかける相葉くんを見送ってため息をついた。
「潤くん、俺らも行こう」
相変わらずニヤニヤしてるニノに促され、控室を後にした。

翔さんとのあの空気感は長年一緒に居た年の近い二人だからこそで、
それを俺が羨ましがったところで不毛なだけ。

そんなことはわかってる。
格好悪いよな、こんなの。

もやもやする気持ちを抱えたまま、仕事をこなしてた俺に近づいて来た智。
ふにゃっと笑って寄り添うように身体を近付け、撮影中のニノと翔さんに
視線を向けたまま囁く。
「マツジュン、珍しいね。仕事中に別のこと考えてるなんて」
「っ…ごめん」
そうだ、何やってんだ。赤面する顔を智から背け、慌て取り繕う。
「次の衣装に着替えてくるわっ」

次は相葉さんとツーショット、キメキメでって言われてる。
かっこ悪い姿なんか智に絶対に見せたくない。