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「なんだよ」
「なんでもない」
「言えよ」
「…」
(ジュンくんなら、この人のこときっと守ってくれるよね)
寝台にもたれて座り込んでいたカズは、心を決めて顔を上げた。
「あの日、サトシに何があったかは見てないけどわかる。
たぶんそんなに事実と違わないくらい推測できる…と思う」
カズは自分があの日見たこと、そしてそこから推測出来ることを、順を追って話す。
時折、目を閉じ逡巡し、
時折、口をつぐみ言葉を選びながら、
カズは伝える。
ジュンは寝台の縁に座り黙ってそれに耳を傾ける。
そして時折、サトシに視線を落とし、辛そうに唇をかみしめ首を振った。
「…それが本当なら、サトシのこの状態も頷ける。
けど、責任を感じることじゃないはずだろ」
ジュンは、黙ってサトシを見つめるカズに強い口調で続ける。
「サトシが負い目を感じるのは変だと思わないか」
「…変かどうかなんて、この人には関係ないと思うよ」
(あのときのサトシの精神状態は異常だった…)
「自分のせいだと思う何かが在ったのかもしれないし…
この人バカだから自分のせいにすることで、
ある意味納得させてるとこあるかもしれないし」
サトシを見下ろす琥珀の瞳は、怒っているようにも泣いているようにも見える。
「サトシの考えそうなことだけど…なんか違和感があるんだよな」
ジュンは知らなかった。
他の親衛隊員と同じように、イールから聞かされていないのだ。
ライの最後の姿を、イールとサトシ以外に知る者はいない。
(あのサトシの状態を考えれば、答えは限られてくる)
カズは、下級魔道士からライの遺体に施した処置についての報告があり、壮絶な最後であったと想像がつく。
サトシが感じる慙愧の念、カズはそれが何であるか確信をもっていた。
(たぶん、間違いないんだ)
しかし肝心要なところをジュンには言えず、省いてしまったのだ。
今はまだ、カズの中で消化できないそれを、どうしても口に出せなかった。
「とにかく、そのせいでとんでもなく気の滅入る夢を毎晩のように見てるのは確かだと思う」
「…夢、か」
ジュンは、自分にはどうにもならないものだとわかると肩を落としてため息をついた。
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ＡＫＩＲＡ(プロフ) - ミルクさん» ミルクさん、コメントありがとうございます〜楽しんでいただけてとっても嬉しいです。このお話に三男は出てこないし、次男もちらっとでただけ（汗）ミルクさんのご贔屓は出てきましたか？他のお話も是非！そしてよかったら感想を教えてくださいね。 (2020年9月12日 22時) (
レス) id: 4512a7e1db (このIDを非表示/違反報告)
ミルク(プロフ) - とても楽しくて一気見しちゃいました！あとの二人がいつ出てくるのもとても楽しみになりました！更新頑張ってください！ (2020年9月10日 9時) (レス) id: 40fefb6cd8 (このIDを非表示/違反報告)
ＡＫＩＲＡ(プロフ) - bunkichiさん» 過去編長かった〜（汗）我ながら呆れてしまいます。描きたいことがたくさんあって、欲張るからこんなことに…このパートもあと少しで一杯ってところでやっと現在っていう（笑）この後、少しでも隊長らしいところをお届けできるよう頑張ります!! (2020年9月6日 23時) (レス) id: 4512a7e1db (このIDを非表示/違反報告)
bunkichi(プロフ) - AKIRAさん、こんにちは。過去編終わりましたね。最初からまた読み直して、過去編は1年前の出来事、レックスさんに「非業の死」と言われて動揺しちゃったところにちゃんと繋がりましたよ。親衛隊長なのに小柄ですごく可愛らしい智くんが目に浮かびます。ステキです。 (2020年9月6日 7時) (レス) id: b3195af20e (このIDを非表示/違反報告)
ＡＫＩＲＡ(プロフ) - bunkichiさん» bunkichiさん、こんばんは〜ちょっと明るい感じになりましたが、もう少しで過去編終わります。が、このパートに入りきらないことが確定〜〜！少し入りきらない（泣）過去編だけの話にするべきだったかなぁ…今更だけど（笑）ということでもうしばらく続きま〜す。 (2020年8月22日 1時) (レス) id: 4512a7e1db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ＡＫＩＲＡ
| 作成日時：2020年7月19日 1時
