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息が詰まって声が出ないまま、どこか得意気な顔で無邪気に笑うサトシの手を握り締めた。
ゆっくり息を整えて、ありったけの理性を総動員した俺は、激しく動揺する心を隠して軽く流すようにそれに答える。
「そんな調子の良いこと言っていいのか。約束は守らなきゃならないんだぞ」
「大丈夫、絶対守るよ。あ、おいらの母さんは優しくてあったかい人じゃなきゃだめだからね。必ず見つけてね」
「なんだよ。それじゃあ、俺の好みじゃなくてサトシの理想の人ってことじゃないか」
「ふふ、ちょっと違う。おいらが思うジュンの理想の人だよ」
「残念だけど居るかどうかもわかんない理想の人になんか興味ないね。俺みたいな研究者なんていうやつは女性にはウケが悪いから、探したところで見つかるとも思えないしな。
サトシはサトシのままで一緒にいればいいじゃないか」
「ふふふ、だめだよ。残念だけどおいらじゃない。
ジュンの隣をずっと…ずっと一緒に歩いてくれる人じゃなきゃダメなんだ」
サトシは自分の身体がとうに限界を超えていることに気付いている。
俺もカズもそのことに触れこそしないが、見え透いた気休めを口にすることもなかった。
ただ穏やかに、冬の日を噛みしめるようにサトシに寄り添い過ごすだけだ。
だけど…何度、自分にそう言い聞かせてみても、割り切れない気持ちを消すことなど出来はしなかった。
「サトシ…」
「ジュン、忘れないで…生まれてきた子が男の子でも女の子でも、それはおいらだよ。
だからうんと可愛がってよね」
「いやだね。今のサトシがここにいればいいんだよ」
「ジュン…約束だよ」
「ずるいじゃないか…そんな言い方」
俺の手を精一杯の力で握り締め、まっすぐ見つめるサトシの瞳に悲しみの色は見つからない。
その鳶色の瞳は、アルプスの雪解け水のように澄んだ光を湛えて揺れているだけだった。
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dango3104(プロフ) - お返事ありがとうございます(〃ω〃)休止中の心の隙間を素敵なお話を一気読みする事で何とか日々を乗りきっておりますm(_ _)m時にニヨニヨし、時に涙し、家族に不審がられようとも気にせず(￣∀￣)何とか智さん不足を補いつつ生きとります(ノ_＜)新作、楽しみにしてます (2022年4月6日 17時) (
レス) id: 51c921a09e (このIDを非表示/違反報告)
ＡＫＩＲＡ(プロフ) - dango3104さん» dango3104さん、コメントありがとうございます！最近は全然UPできていないのですが、何年も前のお話に新しいコメントを頂けるなんて感無量です！また書き始めているので新作ＵＰできたらぜひ読んでくださいね。 (2022年4月5日 23時) (レス) id: 30a2c7b7ee (このIDを非表示/違反報告)
dango3104(プロフ) - 最愛同様に深い愛ですね・・・涙が止まらないです (2022年3月28日 17時) (レス) @page29 id: 51c921a09e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ＡＫＩＲＡ
| 作成日時：2017年6月10日 12時
