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「はあ、空気がキンとしてて気持ちいい」
白い息を吐きながらそれを見つめて、俺に寄りかかったサトシは、掬った雪をきゅっと握ってカズに向かって投げた。
雪玉と言うには小さくて歪なそれはカズの足元にポトリと落ちた。
「届かなかった…」
「ははは、雪合戦はさせてやれないから届かなくて良かったよ。
カズに当たってたら雪合戦が始まっちまうだろ」
「残念ながらそれは三十年ほど前の俺に言ってくれ。
この歳で雪合戦はごめんだよ。ほら、寒いから早く家に入ろう」
カズが足踏みしながら急かす。
「気が済んだ？」
「うん、ありがとう。したかったこと以上だったから感動しちゃった」
「きれいだったな。こんなにきれいだとは俺も思わなかったよ」
サトシが居間にいたいというから、いつものソファに降ろしダウンを脱がせて毛布を掛けてやる。
「なにか温かい物を持って来よう。何がいい？」
「ココア」
「よし、俺が作ってやるよ」
ほとんど何も口にしなくなっていたサトシが珍しくリクエストするもんだから、普段なら素知らぬ顔で聞き流すカズがいそいそとキッチンに向かった。
「ねえ、マーくんからはまだ連絡ないの？もうそろそろだよね」
「ああ、早産にならないようにマイさんはずっと安静にしていたから、なんとか予定日ごろに生まれそうだって一昨日マサキからメールがきてたよ」
「だったら、ほんとにクリスマス頃に生まれてくるんだね」
「たぶんね。この一週間のうちだな」
「楽しみだね。男の子でも女の子でも、きっとかわいい赤ちゃんが生まれて来るよ。
どっちに似てるかな」
ココアの入ったマグカップを手にカズが戻ってきた。
「まあ、誰に似てたとしても生まれたてはシワくちゃの赤猿だから、かわいいなんてウソだね」
「もぉ、カズってば」
サトシは困ったように笑って痩せた腕をカズへと伸ばした。
その手をとり、ソファに横たわるサトシの傍に座り込んだカズは茶目っ気のある笑みを浮かべた。
「冗談だよ。サトシがそうやって困った顔すんのを見るのが好きなんだ」
「なにそれ、いじめっ子みたい」
「いじめたことなんかないさ。
でもまあ、俺は苛められたら倍返しするタイプだから、あながち間違ってないかも」
「人懐っこい顔してるけど、こいつは根っからのＳだぞ」
俺が太鼓判を押すと、サトシは声をたてて笑った。
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dango3104(プロフ) - お返事ありがとうございます(〃ω〃)休止中の心の隙間を素敵なお話を一気読みする事で何とか日々を乗りきっておりますm(_ _)m時にニヨニヨし、時に涙し、家族に不審がられようとも気にせず(￣∀￣)何とか智さん不足を補いつつ生きとります(ノ_＜)新作、楽しみにしてます (2022年4月6日 17時) (
レス) id: 51c921a09e (このIDを非表示/違反報告)
ＡＫＩＲＡ(プロフ) - dango3104さん» dango3104さん、コメントありがとうございます！最近は全然UPできていないのですが、何年も前のお話に新しいコメントを頂けるなんて感無量です！また書き始めているので新作ＵＰできたらぜひ読んでくださいね。 (2022年4月5日 23時) (レス) id: 30a2c7b7ee (このIDを非表示/違反報告)
dango3104(プロフ) - 最愛同様に深い愛ですね・・・涙が止まらないです (2022年3月28日 17時) (レス) @page29 id: 51c921a09e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ＡＫＩＲＡ
| 作成日時：2017年6月10日 12時
