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二人がかりで作業したから、思っていた程はかからず準備が整った。
「遅かったね、やっぱりダメだったのかと思った」
迎えに行った俺を見て唇を尖らせたサトシの身支度をして、軽いダウンのロングコートを着せかけ、その上から毛布で包む。
「ちょっと準備に手間取ったんだ。でも外は今の時期にしたら穏やかな夜だよ」
「ジュン…これじゃあ雪にさわれないよ。ミノムシみたい…」
「外はものすごく寒いんだから仕方ないだろ。手だけ出せるようにしてやるから」
文句を言うサトシをそっと抱き上げて部屋を出る。
毛布にくるんでも痩せた身体は軽々と運べる程で、食事を受け付けなくなったサトシは衰弱するばかりだった。
「…わぁ…きれい」
玄関の扉を開けると凍てつく空気が頬を刺す。
けれどため息とともに小さくつぶやくサトシは、目の前の光景に心を奪われ、それに気づいてはいないんだろう。
玄関先にはいくつものちいさなカマクラにキャンドルを立てて火を灯してある。
ゆらゆら揺れる光は思った以上に綺麗だ。
降り続いていた雪も止んで、今夜は風もなく穏やかで、雲が切れた夜空に浮かぶ月と地上に落ちてきた星みたいに揺れるキャンドルの火が幻想的だった。
「もうすぐクリスマスだしな。いいだろ」
「うん…すごくきれい」
「だろ？究極のインドア派の俺がせっせと作ったんだからな」
雪まみれのカズが得意気に胸を張るのを見て、声を立てて笑ったサトシは毛布から手を伸ばした。
「ねえ、ジュン。雪に触りたい」
「ああ」
膝を着いてそっとサトシを雪の上におろし、その身体を支えてやる。
サトシは半ば身体を預けたまま、手を伸ばしてすぐ傍の雪を撫でるように触ると、ぎこちない手つきで掬い上げた。
今朝、除雪した後に降った新しい雪だから、柔らかくさらさらとサトシの手から零れ落ちる。
「ふわふわなのに冷たいのってなんだか不思議な気がしない？」
「ふわふわイコール暖かいってイメージは確かにあるよな」
カズは納得顔でサトシを真似て雪を撫でる。
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dango3104(プロフ) - お返事ありがとうございます(〃ω〃)休止中の心の隙間を素敵なお話を一気読みする事で何とか日々を乗りきっておりますm(_ _)m時にニヨニヨし、時に涙し、家族に不審がられようとも気にせず(￣∀￣)何とか智さん不足を補いつつ生きとります(ノ_＜)新作、楽しみにしてます (2022年4月6日 17時) (
レス) id: 51c921a09e (このIDを非表示/違反報告)
ＡＫＩＲＡ(プロフ) - dango3104さん» dango3104さん、コメントありがとうございます！最近は全然UPできていないのですが、何年も前のお話に新しいコメントを頂けるなんて感無量です！また書き始めているので新作ＵＰできたらぜひ読んでくださいね。 (2022年4月5日 23時) (レス) id: 30a2c7b7ee (このIDを非表示/違反報告)
dango3104(プロフ) - 最愛同様に深い愛ですね・・・涙が止まらないです (2022年3月28日 17時) (レス) @page29 id: 51c921a09e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ＡＫＩＲＡ
| 作成日時：2017年6月10日 12時
