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俺とカズはサトシに頼まれたとおりにビデオカメラを準備して施設のホールに来ていた。
コーティング前の壁画は天井から白い布を垂らして保護してあり、その前には神楽を流すためのポータブルのステレオセットが置いてある。
ここに用意した機器はどれもカズの会社の試作品で、電磁波を極力抑えたものばかりだったけど、それでもサトシには辛いから、更に電磁波を遮断するために透明のボックスに入れている。
これで長時間でなければサトシの具合が悪くなるのをある程度防ぐことができた。
「このカメラは最新の試作品で従来型の十分の一まで電磁波を押さえることに成功したんだ。
製作費がかかり過ぎるから市場に出るのはまだ先だけど、ここでの記録を残すには充分だろ。サトシみたいに極端な過敏症でも長期間でなければ問題ないからさ」
「凄いな。新薬から電気機器まで、どの会社も上向きなんだろ。
親父さんも安心して隠居生活送れるな」
「まあね、大人しく隠居しててもらえば俺のやりたい放題だ」
何でもひねくれたこと言ってごまかしてしまうカズは筋金入りのへそ曲がりだ。
たぶん、サトシと居る時のカズが本来のあいつなんだろう。
一大コンツェルンの総裁になってしまったカズは精一杯虚勢を張り、多くの商売敵と渡り合い、大勢の煩がたを押さえながら日々戦っている。
そんなカズが楽しげに嬉しそうに笑うのはサトシと居る時だけなんだと思う。
「お待たせ」
準備の整ったホールにやって来たサトシは白装束に身を包み、手には神楽舞いで使う鈴を持っている。
「今日はすごく調子がいいから、ちゃんと舞えると思うんだ」
ふわりと笑って俺とカズの前に立つサトシは、村で見たあの姿より更に細く華奢になっていたけど、その表情はあの頃よりずっと明るい。
決して状態が良くなった訳じゃないけど、気分が上向いているなら、したいようにさせてやりたかった。
「マーくんとマイさんの赤ちゃんの名前決めたんだ。
今から舞うのを録画してもらって、赤ちゃんが生まれたらすぐに届けてほしいんだけど…いい？」
「なるほどね、そう言うことか」
「うん、お願いね。約束したから…ちゃんと守りたい」
「そうだな。わかった、俺も約束するよ。知らせが来たらすぐに届けるってね」
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dango3104(プロフ) - お返事ありがとうございます(〃ω〃)休止中の心の隙間を素敵なお話を一気読みする事で何とか日々を乗りきっておりますm(_ _)m時にニヨニヨし、時に涙し、家族に不審がられようとも気にせず(￣∀￣)何とか智さん不足を補いつつ生きとります(ノ_＜)新作、楽しみにしてます (2022年4月6日 17時) (
レス) id: 51c921a09e (このIDを非表示/違反報告)
ＡＫＩＲＡ(プロフ) - dango3104さん» dango3104さん、コメントありがとうございます！最近は全然UPできていないのですが、何年も前のお話に新しいコメントを頂けるなんて感無量です！また書き始めているので新作ＵＰできたらぜひ読んでくださいね。 (2022年4月5日 23時) (レス) id: 30a2c7b7ee (このIDを非表示/違反報告)
dango3104(プロフ) - 最愛同様に深い愛ですね・・・涙が止まらないです (2022年3月28日 17時) (レス) @page29 id: 51c921a09e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ＡＫＩＲＡ
| 作成日時：2017年6月10日 12時
