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「…っ」
「ジュンくんがしゃんとしてなかったら、この人は誰を頼ればいいんだよ」
ふうっと息を吐いてカズは口をつぐんだ。
「カズ…」
サトシが眠るソファの肘掛けに腰掛けたカズは、寝顔を見下ろし、そっと手を伸ばすと、その痩せた頬に触れる。
「…俺さ、この人が絵を描いている間ずっと傍にいたけど、何も言ってくれなかったよ。
辛いとかしんどいとか、そんな素ぶりすら見せなかった。
俺には言えないんだ。幼馴染のマサキにもね。
この人がそういうことを言えるのはジュンくんにだけだよ。
だからこそちゃんと見ててくれよ、この人にとって何が最善か考えてくれよ」
「…俺はどうすればいい？薬で何とか出来るなら認可が下りてなくたって使いたい。
けど…そうだよ。分かってる。サトシはもうそんな治療には耐えられない。
だけどっそれじゃ俺は主治医としてなにがしてやれるっていうんだ」
叫び出したい衝動に駆られて思わず両手で顔を覆う。
そうだよ、カズに言われるまでもない。
あの絵を描き終えた日の検査で腎機能が低下していることが分かってから、サトシの検査結果は日を追うごとに悪くなるばかりで、多臓器にわたって機能不全を起こしつつある。
それがどういうことか分からない訳がない…
「ジュンくんはさ、この人が本当に望んでることをしてやってよ。
自分のことで誰かを悩ませたり苦しませたりしたくないって強く思ってるから、他の人には何も言えないんだよ…たぶん、ほんとに望んでることはジュンくんにしか言えないんじゃないかな」
カズは寂しそうに笑った。
「サトシはカズが大好きだよ。結構カズには甘えてると思うけどな」
慰められたと思ったのか、カズは強気な顔で俺を見て、ふんと鼻を鳴らした。
「まあ、俺みたいに器の大きい奴には甘えたくなるもんなんだよな」
「なんだそれ、自分で言ってて恥ずかしくないわけ？器が大きいって…お前」
「じゃあ、懐が広いってことにしといてもいい」
「どっちにしても自分でいうことじゃないだろ」
「理由はそんなんじゃないと思うけど、まあ間違いなくサトシはカズと気が合うんだと思うよ。カズといる時、すごく楽しそうな顔してるから」
カズはふっと笑って呆れ顔の俺を見る。
「何ができるかなんて俺にも分からないけどさ、傍にいようよ。
今、この家には俺たちしかいないんだからさ」
「そうだな。取り敢えず対処療法で様子を見ながら細心の注意を払っていよう」
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dango3104(プロフ) - お返事ありがとうございます(〃ω〃)休止中の心の隙間を素敵なお話を一気読みする事で何とか日々を乗りきっておりますm(_ _)m時にニヨニヨし、時に涙し、家族に不審がられようとも気にせず(￣∀￣)何とか智さん不足を補いつつ生きとります(ノ_＜)新作、楽しみにしてます (2022年4月6日 17時) (
レス) id: 51c921a09e (このIDを非表示/違反報告)
ＡＫＩＲＡ(プロフ) - dango3104さん» dango3104さん、コメントありがとうございます！最近は全然UPできていないのですが、何年も前のお話に新しいコメントを頂けるなんて感無量です！また書き始めているので新作ＵＰできたらぜひ読んでくださいね。 (2022年4月5日 23時) (レス) id: 30a2c7b7ee (このIDを非表示/違反報告)
dango3104(プロフ) - 最愛同様に深い愛ですね・・・涙が止まらないです (2022年3月28日 17時) (レス) @page29 id: 51c921a09e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ＡＫＩＲＡ
| 作成日時：2017年6月10日 12時
