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微妙な陰影を描いた森と澄んだ湖を背景に、ユイのお気に入りのブランコが隅の方に描かれていて、真ん中には真っ白な翼を広げた天使が両手を差し伸べ微笑んでいる。
その天使はまるでホールに集まる子どもたちを抱きしめようとしているみたいで…
金髪というより明るい茶色の髪に温かな鳶色の瞳の天使はどことなくサトシに似ているような気がする。
「凄いよな。こんな才能あるなんて…」
描いている間ずっと一緒にいたカズが、呟くようにそう言ってサトシを見つめる。
その視線に気付いたサトシが腕組みして注意するその姿はまるで画家みたいだ。
「まだ、乾いてないところがたくさんあるから触っちゃだめだからね」
「こんなに早くでき上がるとは思ってなかったから、コーティングはまだ先になるけどいい？」
カズは思案するように顎を摘まんだ。
「触らなかったら大丈夫。ユイ達が帰ってくるまでにしてくれたらいいよ。
ユイがいたら触っちゃうだろうけど」
そう言ってふふっと思い出したように笑った。
「びっくりするかな」
「そりゃあ、もちろん。描いてるの知ってる俺だってこんなに驚いたんだから、きっとものすごく驚くよ。それから大喜びするだろうね」
請け合う俺に嬉しそうに頷いたサトシはその場にへたりと座り込んだ。
「どうした、気が抜けた？」
「…うん、なんか力が抜けちゃった」
立ち上がれないと言うサトシをおぶって部屋まで連れて行った俺は、その骨張った軽すぎる身体に眉をひそめた。
サトシを部屋に寝かせて、急いでカズが待つリビングへ行った。
「カズ、絵を描いている間にサトシは何も変わったことなかったか？」
「ああ、特には。…そう言えば、しょっちゅう伸びをしてたけど、ずっと描いてると身体が強張るからかと思ってたけど…違うのか？」
たぶん、そんな理由じゃないだろう…
検査をしてみないと分からないけど、よくない感じだ。
「いや、ちょっとな。明日からしばらくはゆっくり休ませて様子を見るよ」
訝しげに俺を見たカズは物言いたげな視線を向けただけで何も言わなかった。憶測で話すのは科学者としても医者としてもよくないと思うから、まだカズには言えない。
当たって欲しくない憶測は、検査結果に裏付けられて現実となってしまった。
サトシの腎機能は著しく低下していて、その日からしばらくベッドから起きられなかった。
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dango3104(プロフ) - お返事ありがとうございます(〃ω〃)休止中の心の隙間を素敵なお話を一気読みする事で何とか日々を乗りきっておりますm(_ _)m時にニヨニヨし、時に涙し、家族に不審がられようとも気にせず(￣∀￣)何とか智さん不足を補いつつ生きとります(ノ_＜)新作、楽しみにしてます (2022年4月6日 17時) (
レス) id: 51c921a09e (このIDを非表示/違反報告)
ＡＫＩＲＡ(プロフ) - dango3104さん» dango3104さん、コメントありがとうございます！最近は全然UPできていないのですが、何年も前のお話に新しいコメントを頂けるなんて感無量です！また書き始めているので新作ＵＰできたらぜひ読んでくださいね。 (2022年4月5日 23時) (レス) id: 30a2c7b7ee (このIDを非表示/違反報告)
dango3104(プロフ) - 最愛同様に深い愛ですね・・・涙が止まらないです (2022年3月28日 17時) (レス) @page29 id: 51c921a09e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ＡＫＩＲＡ
| 作成日時：2017年6月10日 12時
