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楽しかったアルプスの短い夏の終わり。
少し肌寒くなったある夜、サトシが満天の星を見上げながら独り言のように呟いた。
「ジュンにね、ここに来てから、ずっと言いたかったことがあるんだ」
「…なに、物申す的なこと？恐いな」
「ふふっ違うよ。そんなんじゃない」
「おいらね、いろいろわかるようになった五、六歳頃からずっと不思議だった。
なんでおいらだけみんなと違うのかなって」
「でもね、それを悲しいとか嫌だとか思ったことなかったんだ。
神官様に神様の子だって言われて、ふうんって思っただけ」
斜面に寝転がったサトシに視線をむけると、星空を見るでもなく遠い目をして心はここにないみたいだ。
「でもね、ジュンに出会って…村を出て、カズやショウくんと知り合って。
みんなすごい人で…おいら、初めて悲しいって思った」
俺たちに会って悲しくなったというサトシは微かな笑みを浮かべて、まっすぐな眼差しで俺を見上げる。
「みんなと同じように大人になりたいって、初めて思ったんだ。いつまでも何も出来ないままの自分が悲しかった…マーくんが帰省するたびに大人になってくのは受け入れられたのに…
変だね。なんでかな」
「マサキは子どもの頃からずっと変わらないからだろ。見た目じゃなくて心がさ。
だから気にならなかったんじゃない？」
たぶんマサキの友だちっていう子どもじゃない俺たちの存在が、サトシに気付かせたんだろう。
平気なふりして押しこめていた感情を自覚するきっかけになったんだと思う。
滅多に自分の気持ちを話さないサトシがどうしてそんなことを言い出したのか、俺はそっちの方が気になった。
「急にどうした？」
「ううん、何でもない」
「ただね、ジュンに伝えたいなって思ったの。
おいら、ここに来て初めてちゃんと生きてるって思えるようになったんだよ」
「もう、カズと難しい話をするジュンを見ても悲しくならない」
サトシの言葉に驚く俺を見上げて悲しいくらい綺麗な笑顔をして見せる。
「日本のあのラボにいたころは…おいらだけ場違いな感じがしてたんだ」
今夜のサトシは饒舌だった。俺は一言も聞き逃すまいとサトシの話に集中する。こんな機会はそうそうない。
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dango3104(プロフ) - お返事ありがとうございます(〃ω〃)休止中の心の隙間を素敵なお話を一気読みする事で何とか日々を乗りきっておりますm(_ _)m時にニヨニヨし、時に涙し、家族に不審がられようとも気にせず(￣∀￣)何とか智さん不足を補いつつ生きとります(ノ_＜)新作、楽しみにしてます (2022年4月6日 17時) (
レス) id: 51c921a09e (このIDを非表示/違反報告)
ＡＫＩＲＡ(プロフ) - dango3104さん» dango3104さん、コメントありがとうございます！最近は全然UPできていないのですが、何年も前のお話に新しいコメントを頂けるなんて感無量です！また書き始めているので新作ＵＰできたらぜひ読んでくださいね。 (2022年4月5日 23時) (レス) id: 30a2c7b7ee (このIDを非表示/違反報告)
dango3104(プロフ) - 最愛同様に深い愛ですね・・・涙が止まらないです (2022年3月28日 17時) (レス) @page29 id: 51c921a09e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ＡＫＩＲＡ
| 作成日時：2017年6月10日 12時
