白妙の衣は薄紫の花に埋もれて…１出会い編 (ページ11)

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…神罰…ケッサイ…潔斎か
どれも耳馴染の無い言葉で落ち着かない気分になる。
ショウさんがいてくれれば良かったのにって頭の隅でそう思った。

「信じてくれる？」
「…ああ、もちろん。でもなんか…あんまりにも現実離れして頭がついてかないな」
　
俺の言葉に肩を落としたけど、真っ直ぐな眼差しで俺を見て精一杯の笑顔を見せた。

「そうだよね…そんなに簡単には信じられないよね。でも嘘じゃないよ」
「わかってる。マサキの話を疑ってるわけじゃない」

「うん、ありがと。明日さ、夜明け前に迎えに来るからちょっと付き合ってくれる？」
そう言ってマサキは実家へ帰って行った。

たぶんマサキは誇張してないだろう。ありのまま、見たままを伝えてると感じた。
だったら、全部信じるしかないだろう。マサキの言葉を信じる。
けど…本当にそんなことがあるとはやっぱり思えない。
だからこの目で確かめて冷静に科学的にその事象を見極めたい、それが俺の正直な気持ちだった。
　
約束通り夜明け前に迎えに来たマサキは、初日に行った露天風呂のある村の奥へと向かう。

「今日は神事の二日前だから温泉に行けは会えるよ」
「…サトちゃんにか？」

「そう。踊り手は神事の十日前から一週間ケッサイのためにずっと祠に閉じこもってるんだ。
そのあと、三日前の昨日と今日、早朝に温泉の傍にある泉で水浴びをするんだ」

朝霧の中を足早に進むマサキは気が急いているみたいだった。
よっぽどサトちゃんに会いたいんだろう。
俺もマサキがあんなにその名を連呼するサトちゃんのことが正直すごく気になっていた。

「なあ、サトちゃんってマサキの初恋だったりするんじゃないのか」
「ええっ違うよ。大好きだけどね」
　
即座にあっさり否定されて驚いた。てっきりそうだと思ってたんだけどな。

「ほら、あそこだよ」
　
マサキが指差した先に白い影が見えた。
昨日俺の視界の端を掠めて行った白い影は幻じゃなくて、マサキのいうサトちゃんだったんだ。