第三十五波 ページ35
管に繋がれたままの浦正。
酸素マスクをつけた浦正。
見ているのも辛かった。
「浦正君…」
ぎゅっと涼真が浦正の手を握る。
それでも浦正は目を覚まさない。
「なんで…浦正君がこんな事に…瀬斗光黄ってなんやねん。なんやねんなんやねん…」
なんで…
お前はそんなに綺麗な涙を流せるの？
なんで…俺達みたいな人種の人間に泣けるの？俺達を取って友達を裏切れるの？
「ごめん。取り乱してもうた」
「いいよ。どうせ誰もいない」
窓の外で強い風が吹き荒れているのだろう。カタカタと窓が音を立てる。
それは不覚にも、ジャックナイフとして過ごしていた時間を思い出させていた。
この手で何人の人を病院へ送っただろう。
何人が浦正と同じ状態になった？
そもそもなんで俺はジャックナイフとなった？
「帰ろ？虎次郎君も体調悪そうや」
ふと顔を覗き込まれ、俺は驚きあとずさる。
警戒心が解けてない。
人を信じない癖が抜けてないんだ…
「か、帰るか」
「うん」
そう言いながらふとベットを見る。
…あれ？
浦正…動いてる？
「浦正…君？」
涼真同じ事を感じたようだ。
眉毛も少し寄せられ、自発呼吸を始め、目を開けた。
「浦正君！」
帰ろうとしていた涼真が駆け寄る。「涼真…」と浦正は言った。
うっすら開けた目は俺では無く、涼真を捉えていた。
「せ、先生！」
見たくない。
ダメだ。今の浦正を見たくない！
俺は廊下に飛び出し、医者を探すために走り出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 23人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
杜若蒼(プロフ) - まおさん» コメントありがとうございます♪待っててくれるんですか！ありがとうございます！本当に遅くなるかもしれませんが頑張って書きますね♪ (2014年10月5日 21時) (
レス) id: 55b24aa62f (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - すみません、始めましてじゃなくて初めまして？でした… (2014年10月5日 21時) (レス) id: 3cad231990 (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - 始めまして！とっても面白いです！そして温かいお話ですね…。ちなみに私は浦正くん推しです。更新いくら遅くとも待ちます！それくらいこのお話が好きです。応援してます。頑張ってください！ (2014年10月5日 21時) (レス) id: 3cad231990 (このIDを非表示/違反報告)
杜若蒼(プロフ) - TAMIKOさん» 了解でーす♪書き上げ次第更新しますね♪コメントありがとうございます♪ (2014年5月24日 4時) (レス) id: 064ab8f00f (このIDを非表示/違反報告)
TAMIKO(プロフ) - 早くー！続きー！待ってます！ (2014年5月24日 0時) (レス) id: 73739dc8a9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：杜若蒼 | 作成日時：2014年3月24日 14時
