第二十九波 ページ29
どこかで見たことある顔だと思っていた。
でもまさか、そんな事が…
「北海道…」
北海道出身だと彼にいってしまった。もしかしたら気がついてしまったのか…
「虎次郎君…帰ろ」
「ああ…」
ごめんな。
今はそれしか考えられなくて。
手も出せなくて…
巻き込んで…
「病院教えて貰ったけど…どうする？」
「いや、明日行こう」
有加ちゃんがいる。
そんなところに軽々しく行けない。
顔なんか…出せない。
どんな顔をすればいいと言うんだ。
「ほら、親心配してるだろ。学校午前中だけだったのに」
「心配なんてしてへんよ。むしろ俺なんておらん方がええくらい思っとるよ。…家に帰る気起こらんし、バイトまで暇やで」
え…
頭の中に疑問符が生じる。
俺は1人暮らし。親とは仲が悪い。
反抗するように不良になっていったのだが…どうみても涼真は優等生…しかもあのマンションはどうみても…
「虎次郎君の家ってどの辺なん？」
「お前の家の更に奥」
じっと俺の方をみてくる。
よく見ると俺より背が高い。
顔だって整って…いや待て。そんなことはどうでもいい。
お前は何がしたい…？
「虎次郎君の部屋やったらおしゃれなんやろうな」
「そんなこと無いよ」
「そう？見てみたいな」
そう来たか…
まあ、やましいものなにも無いし、いいか。
「…バイトまでね」
「うん」
彼は嬉しそうに頷いた。
家に着くと彼はキョロキョロと見回す。
そんなに狭いかよ。
「料理するんやな」
「まあな。なんか食う？」
「うん」
冷蔵庫を開けて、固まった。
やましいもの有りました。発泡酒入ってます。やばい。見られないようにしなきゃ…
「発泡酒か〜飲んでええ？」
「ば、バイト前だろ！ダメ！酒臭く接客する気か！」
そう言って急いで閉める。
飲んでええ？
その言葉の本当の意味を理解もせず、俺はうどんを手に掴み、鍋に放り込んだ。
「ほら、出来たよ」
「おおきに。いただきまーす！」
俺の作ったうどんを美味しそうに頬張る。
でもそれはわざと作ったような明るさで…
でも俺は何もいえなかった。
「ごちそうさん！美味かったで！」
「ああ。…酒はバイトの無い日な？」
「わかったよ。今度は連絡してから行くさかい。ありがとな」
そう言って涼真は部屋を出て行った。
その足取りは重そうだった。
不良と優等生…いや、一般人。
俺らみたいな悪と涼真みたいないい子の集まりでは全くもって習慣が違う事など、この時の俺には知る由も無かった。
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杜若蒼(プロフ) - まおさん» コメントありがとうございます♪待っててくれるんですか！ありがとうございます！本当に遅くなるかもしれませんが頑張って書きますね♪ (2014年10月5日 21時) (
レス) id: 55b24aa62f (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - すみません、始めましてじゃなくて初めまして？でした… (2014年10月5日 21時) (レス) id: 3cad231990 (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - 始めまして！とっても面白いです！そして温かいお話ですね…。ちなみに私は浦正くん推しです。更新いくら遅くとも待ちます！それくらいこのお話が好きです。応援してます。頑張ってください！ (2014年10月5日 21時) (レス) id: 3cad231990 (このIDを非表示/違反報告)
杜若蒼(プロフ) - TAMIKOさん» 了解でーす♪書き上げ次第更新しますね♪コメントありがとうございます♪ (2014年5月24日 4時) (レス) id: 064ab8f00f (このIDを非表示/違反報告)
TAMIKO(プロフ) - 早くー！続きー！待ってます！ (2014年5月24日 0時) (レス) id: 73739dc8a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杜若蒼 | 作成日時：2014年3月24日 14時
