第二十八波 ページ28
俺と虎次郎君は目撃者の証言により、無罪、いや、同じ目撃者として扱われた。
でも、俺達が見たのは有加ちゃんが瀬斗と名乗った男を足で踏み潰している姿と、浦正君を心配し続ける姿だけ。だと思っていた。
「爆弾処理班、至急中野風男子学園に！」
「了解しました！」
警察署内が慌ただしくなる。
中野風男子学園に爆弾…
浦正君も、有加ちゃんも、虎次郎君も…瀬斗が言った「学校を爆破する」という言葉で瀬斗との喧嘩を始めていた。
瀬斗の証言でも、有加ちゃんの証言でも、ここにいる虎次郎君の証言でも同じ話が出たため、爆弾処理班が派遣されるらしい…
「ねえ…俺来ちゃまずかったんやない？」
「…悪かったよ」
虎次郎君はそう言って目を伏せた。
ただ助けたかった一心だった。それはわかるから…
「爆弾発見した模様。生徒は自宅に帰らせ、爆弾処理を始めます」
「ご苦労様」
バタバタと廊下の外が騒がしくなる。
本当に爆弾が…
「この場合、京本有加さんも青明寺浦正さんも正当防衛が認められますね」
「ええ。まあ瀬斗光黄さんは更なる罪を重ねたことになりますが」
正当防衛…じゃあ罪にはならないんだ…
「…ごめんな本当に…」
「なんで虎次郎君が謝るん？」
「今…思い出して…あの眼鏡…」
眼鏡…？あ…
「桃君の事？気にせんでええ。もうどうせ絶交寸前やったんや」
下手の嘘。
凄く下手な嘘。
でも、こっちを選んだのは自分やから。
「…有加ちゃんは浦正君が好きなんやね」
「…みたいだな」
一気に虎次郎君の顔が曇る。
虎次郎君も有加ちゃんが好きなんだと気がついた。
だからこんな下手な嘘すら気がつかないんだ。
「お二人はもう帰っていいです」
「あ、でも、あの、有加ちゃんと一緒に…」
「彼女は病院へ行きましたよ。今、青明寺さんの手術中ですから」
ズキッと心が痛む。
なぜ…浦正君は有加ちゃんを拒絶した？
ジャックナイフって…何？
「口に出てるぞ涼真…」
「え？あ、ごめ」
「ジャックナイフ…ですか。北海道の方の不良ですよね。仮面の少年」
仮面？
有加ちゃん仮面なんてつけてへんかったと思うんやけど…
ふと虎次郎君を見ると、小刻みに唇が震えていた。
そしてギュッと拳を握りしめる。
それを意味するものを俺は何も分からなかった。
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杜若蒼(プロフ) - まおさん» コメントありがとうございます♪待っててくれるんですか！ありがとうございます！本当に遅くなるかもしれませんが頑張って書きますね♪ (2014年10月5日 21時) (
レス) id: 55b24aa62f (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - すみません、始めましてじゃなくて初めまして？でした… (2014年10月5日 21時) (レス) id: 3cad231990 (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - 始めまして！とっても面白いです！そして温かいお話ですね…。ちなみに私は浦正くん推しです。更新いくら遅くとも待ちます！それくらいこのお話が好きです。応援してます。頑張ってください！ (2014年10月5日 21時) (レス) id: 3cad231990 (このIDを非表示/違反報告)
杜若蒼(プロフ) - TAMIKOさん» 了解でーす♪書き上げ次第更新しますね♪コメントありがとうございます♪ (2014年5月24日 4時) (レス) id: 064ab8f00f (このIDを非表示/違反報告)
TAMIKO(プロフ) - 早くー！続きー！待ってます！ (2014年5月24日 0時) (レス) id: 73739dc8a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杜若蒼 | 作成日時：2014年3月24日 14時
