第二十六波 ページ26
「俺、有加ちゃんが大好きやから」
大好き…そうか。俺もだ。
なんとなくしか感じ得なくて、よくわからなかったけど、俺も有加ちゃんの事がなまら大好きなんだ。
「ついてきてよ。どこいけばええん？場所教えるさかい」
「ああ。頼りにしてる」
そう言うと涼真はにこりと笑った。
恋のライバルかもしれない。
そんな馬鹿みたいな考えと、早く浦正を助けなければ。その思いが混ざり合い、複雑な気持ちになってしまう。でも、早く行かなくては。
瀬斗は危ない。早く行かないと浦正が本当に危ない！
でも、俺達は遅かった。
浦正はボロボロだった。
でも、それだけじゃない。
見たものは、有加ちゃんが瀬斗の頭を上履きのまま、踏みつけている姿。
離したかと思うと浦正の方へ駆け寄り、突き放された姿。
「ジャックナイフ…ジャックナイフ！」
浦正は耳を抑え、恐怖でのたうちまわる様な絶叫をあげた。
・・・・・・
あれが…有加ちゃん？
男を足で踏み潰している姿を見て目を見張った。
目も、鋭く怖かった。
足を離した刹那、ボロボロになってしまった…浦正君に駆け寄っていた。
「浦正！浦正」と。
有加ちゃんは浦正君が好きだから…
でも、浦正君は有加ちゃんを押した。
そして、「ジャックナイフ」と叫ぶ。
有加ちゃんはただ座り込んでいた。
しばらくすると浦正君の声が聞こえなくなった。
「やだ。浦正、浦正！」
浦正！と有加ちゃんは叫ぶ。
ダメや。気絶してしまった人を揺らしたらあかん！
入ろうとすると、俺の右手は虎次郎君に掴まれていた。
「入ったらいけない！涼真は逃げて」
「なんでなん？なんで逃げなあかんの？なんで入ったらあかんの？」
虎次郎君は更に強く握る。
訳が分からんかった。
ファンファン…とサイレンの音が聞こえる。
だんだん近づいてくる。
白と黒の車が倉庫の前の空き地に止まる。
降りてきたのはスーツを着たおじさん達。
何人もの人が倉庫の中に入って行き、2人のおじさんが俺達の前に立った。
「君達、ここでなにしているんだ」
「まさか秀生生が…」
秀生生…？
一瞬考えてしまう。
自分の事だと気がつくのに少しだけ時間がかかった。
「涼真は違う！場所を教えてもらっただけだ！」
「とにかく2人にも来て」
倉庫の中の絶叫で、目の前の警官の言葉が止まった。
有加ちゃんの叫び声。
反抗するものでは無く、浦正君の救急車を要求するものだった。
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杜若蒼(プロフ) - まおさん» コメントありがとうございます♪待っててくれるんですか！ありがとうございます！本当に遅くなるかもしれませんが頑張って書きますね♪ (2014年10月5日 21時) (
レス) id: 55b24aa62f (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - すみません、始めましてじゃなくて初めまして？でした… (2014年10月5日 21時) (レス) id: 3cad231990 (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - 始めまして！とっても面白いです！そして温かいお話ですね…。ちなみに私は浦正くん推しです。更新いくら遅くとも待ちます！それくらいこのお話が好きです。応援してます。頑張ってください！ (2014年10月5日 21時) (レス) id: 3cad231990 (このIDを非表示/違反報告)
杜若蒼(プロフ) - TAMIKOさん» 了解でーす♪書き上げ次第更新しますね♪コメントありがとうございます♪ (2014年5月24日 4時) (レス) id: 064ab8f00f (このIDを非表示/違反報告)
TAMIKO(プロフ) - 早くー！続きー！待ってます！ (2014年5月24日 0時) (レス) id: 73739dc8a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杜若蒼 | 作成日時：2014年3月24日 14時
