第二十四波 ページ24
「瀬斗、てめえ浦正に何しやがった！」
「相変わらず、口は悪いみたいですね。髪の毛はバッサリ切ったんですね」
「どうでもいいでしょ！答えろ！」
「神奈川最強伝説を崩しました」
くるっとこちらを向く。俺は思わず目を逸らした。
勝てなかった。それをまざまざと見られているようで。
「浦正、今治療を」
「おいアマ、てめーここに乗り込んで来ておいて俺らに背中を向けるのか？そいつは頭悪いな」
けけけ、と鉄パイプを持った男達が有加ちゃんを囲む。
助けないと…！
そう思って立とうとしたが立てなかった。
右足の激痛。
触ってみたらわかる。
骨が折れて…
「やれ」
氷のように冷たい瀬斗の声が響く。
ほぼ一斉に鉄パイプを振り上げ、有加ちゃんに襲いかかる。
でも、彼女に一本たりとも鉄パイプは当たらなかった。
いつの間にか囲まれた輪の外に出て、一番図体の大きい男の頭に蹴りを入れた。
あまりの素早さに、俺は目を見張る。
次々襲ってくる男どもをあまりにも素早く、あまりにも華麗に蹴散らす。
急所に所々蹴りをいれて行き、男どもを黙らせる。
怖かった。
あの時の記憶と重なる。
空き地で、2人きりで、相手は俺よりも小さくて、あまりにも綺麗に戦っていた。
ジャックナイフ…
・・・・・・
瀬斗め…あの野郎！浦正をあんな風にしやがって！
私の大好きな人をあんな風にしやがって！
彼の大きい目からは涙が溢れている。
嫌われても構わないから、瀬斗が許せなかった。
嫌われるのは慣れている。
怖がられるのも慣れている。
「なにが、九州最強よ。こんな卑怯な手を使って最強を語るな！」
「それはこいつらを倒してから言ってください」
「言われなくても、倒すわよ！」
私は知っている。
瀬斗は50人の男を一気に倒したからこそ、九州最強になったこと。
神奈川みたいな甘い世界では無いと言うこと。
そして…私とほぼ互角の戦闘能力であったこと…
ふと周りを見ると瀬斗を除く全ての男が倒れていた。
瀬斗はふふふ、と笑う。
「ブランク本当にありそうですね。まあ、準備運動くらいにはなったでしょう」
「ふん。私は浦正を返して貰えればそれで」
「返しません。貴女と戦いたかったのは俺なんですから」
「…互角の戦闘能力でしょう？」
「貴女が不良を辞める前、はね」
鉄パイプを持つ黒い制服と黄色のメッシュが恐ろしい程不釣り合いだった。
そしてそこに浮かべる笑みも、ただの無邪気な子供のようにしか見えなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 23人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
杜若蒼(プロフ) - まおさん» コメントありがとうございます♪待っててくれるんですか！ありがとうございます！本当に遅くなるかもしれませんが頑張って書きますね♪ (2014年10月5日 21時) (
レス) id: 55b24aa62f (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - すみません、始めましてじゃなくて初めまして？でした… (2014年10月5日 21時) (レス) id: 3cad231990 (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - 始めまして！とっても面白いです！そして温かいお話ですね…。ちなみに私は浦正くん推しです。更新いくら遅くとも待ちます！それくらいこのお話が好きです。応援してます。頑張ってください！ (2014年10月5日 21時) (レス) id: 3cad231990 (このIDを非表示/違反報告)
杜若蒼(プロフ) - TAMIKOさん» 了解でーす♪書き上げ次第更新しますね♪コメントありがとうございます♪ (2014年5月24日 4時) (レス) id: 064ab8f00f (このIDを非表示/違反報告)
TAMIKO(プロフ) - 早くー！続きー！待ってます！ (2014年5月24日 0時) (レス) id: 73739dc8a9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：杜若蒼 | 作成日時：2014年3月24日 14時
