第十六波 ページ16
感が鋭いんだ。
彼の反応を見てそう思った。
普通だったら浦正に怖がる。
でも、こいつは俺に対して怖がっている。
こいつは、東京に来てから初めて俺の正体を見破る人になるかもしれない。
まあ、こんな一般人に見破られたからといって大した事なんて無いのだが。
でも、気をつけるに越したことはないだろう。
「俺こっち〜じゃあな！あ、普通の人は帰るんだぞ〜！」
…空気を読まない浦正が帰っていく。
でも、最後の一言は正論で、俺は無言で2人きりになった涼真に頷いた。
「あ、俺帰るさかい」
「涼真、鋭いんだな」
進もうとする涼真にそう言うと、涼真は振り返る。
俺は続けた。
「人を怖がる目。浦正にはしもしなかった。でも、俺にはするんだ」
「そんな、俺はそんなこと…」
「いや、それがやっぱり普通だよ」
隠しきれない俺の「過去」
こいつにはもうばれているのかもしれない。
「…不良いうことは、親と仲悪かったん？」
「まあ、なまら悪かったな。父親だけだったから…なんで？」
殴り合いすらしてない。
親とは目も合わせず過ごしてきた。
俺の事なんて見てもくれなかった。
母親の温もりなんて、少しも体に残っていない。
「何処出身なん？」
「え、北海道。そっちは関西か」
「うん。大阪。東京は引っ越してきたばかりさかい、あんまり分からん」
ふるふると頭を振る。
まだ警戒心はあるようだ。
正直こいつを排除した方がいいのはわかっている。
バイトで一緒って事は有加ちゃんの魅力を知っていて不思議ではないから。
でも、それが出来ない僅かな理性が働いていた。
「俺、ここやさかい、じゃあね」
そう言って涼真は大きなマンションの中に入って行った。
ここ、どう見ても家賃高い…
自分の家賃の低いボロアパートを想像して思わず笑ってしまった。
・・・・・・
「…寝てる？」
「うん。もう大丈夫さかい、涼真は勉強し」
お母さんがそう言って部屋に入って行った。遠くからは父親のいびきが聞こえる。
あの長袖の下は青痣でいっぱいだろう。
俺が近くにいても変わらない、むしろ俺まで殴られる。
受験で公立高校に受からなくて、秀生高校に進んだ。
転勤でここに来た親父は仕事のストレスと俺の受験の失敗でお母さんに、俺に暴力を振るようになった。
逃げるようにバイトを始め、最近まともに話もしなくなった。
部屋に入っても親父のいびきが聞こえる。
両耳に両手を当て、ベットに潜り込んで目を閉じた。
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杜若蒼(プロフ) - まおさん» コメントありがとうございます♪待っててくれるんですか！ありがとうございます！本当に遅くなるかもしれませんが頑張って書きますね♪ (2014年10月5日 21時) (
レス) id: 55b24aa62f (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - すみません、始めましてじゃなくて初めまして？でした… (2014年10月5日 21時) (レス) id: 3cad231990 (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - 始めまして！とっても面白いです！そして温かいお話ですね…。ちなみに私は浦正くん推しです。更新いくら遅くとも待ちます！それくらいこのお話が好きです。応援してます。頑張ってください！ (2014年10月5日 21時) (レス) id: 3cad231990 (このIDを非表示/違反報告)
杜若蒼(プロフ) - TAMIKOさん» 了解でーす♪書き上げ次第更新しますね♪コメントありがとうございます♪ (2014年5月24日 4時) (レス) id: 064ab8f00f (このIDを非表示/違反報告)
TAMIKO(プロフ) - 早くー！続きー！待ってます！ (2014年5月24日 0時) (レス) id: 73739dc8a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杜若蒼 | 作成日時：2014年3月24日 14時
