第十四波 ページ14
口から流れる音楽は昨日初めて聞いた曲。
パステルカラーのような明るくて爽やかな決して芸術的とは言えない曲は今まで聴いてきたロックの曲と違い、柔らかく、私の心を溶かした。その後にロックの音楽を聴く気にすらならなかった。
そして納得する。
喧嘩は強いとされるのにあんなに優しい笑顔を浮かべる浦正。その根っこにはこんなに優しい笑顔を浮かべる彼女達の存在があったのだと。誰よりもはるかに素敵な笑顔で、喧嘩が強いというだけではなく人を惹きつける何かを浦正は持っていた。
私には持っていない何かを…
「有加ちゃん帰ろ！」
「うん」
途中まで方向が一緒の涼真君。
別に1人で帰ってもいいのだが、なんとなく2人で帰っていた。といっても特に話すこともないので黙ったまま歩くだけだが。
「あ、有加ちゃん！」
最近聞き慣れた男の声が横から聞こえる。
普段の制服姿よりオシャレに決めた明るい髪の毛の男。
学校内では意図的に私が近くに置いておいている存在。
「虎次郎君。どうしたの？」
「夕飯の材料買ってきた。立ち読みしてたら浦正とあってさ、遅くなっちまって…ところで、誰？」
虎次郎君が首を傾げ、私の後ろを見る。
後ろには涼真君が立っていた。
「バイトで一緒の人。途中まで一緒だから」
「へえ。あ、俺は赤園虎次郎！よろしくな！」
「あ、えっと…雪村涼真。よろしく…」
涼真君はしっかり第一ボタンまで閉められたシャツ、黒髪、どうみても優等生ファッション。
対する虎次郎君は染めている明るい髪の毛、普段の制服姿はうちの学校内ではおとなしい方だが、涼真君と並ぶと大分着崩している。
対象的すぎる2人。並ぶと軽い違和感を憶えた。
「おーい虎次郎ー！」
遠くからまた別の聞き慣れた声…鼓動が早くなり、早く顔をみたくて、薄暗いこの時間に怒りを覚える。顔を識別できると嬉しくてたまらなかった。
「有加ちゃん！夜になっても可愛いね！」
「アホか馬鹿浦正」
「アホでも馬鹿でもいーもん。…誰？」
「バイトで一緒の涼真君」
ふと振り向くと、ぎゅっと鞄を抱きしめる涼真君がいた。
寒いのかな？夜で大分冷えてきてしまっているから…
「じゃあ、そろそろ帰るか。また明日ね有加ちゃん！」
名残り惜しいけどまた明日。
冷えてしまって涼真君が風邪をひいても困るしね。
そう思いながら私は分かれ道で別れた。
口ずさんでいた曲は昨日聴いたばかりのももクロの曲だった。
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杜若蒼(プロフ) - まおさん» コメントありがとうございます♪待っててくれるんですか！ありがとうございます！本当に遅くなるかもしれませんが頑張って書きますね♪ (2014年10月5日 21時) (
レス) id: 55b24aa62f (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - すみません、始めましてじゃなくて初めまして？でした… (2014年10月5日 21時) (レス) id: 3cad231990 (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - 始めまして！とっても面白いです！そして温かいお話ですね…。ちなみに私は浦正くん推しです。更新いくら遅くとも待ちます！それくらいこのお話が好きです。応援してます。頑張ってください！ (2014年10月5日 21時) (レス) id: 3cad231990 (このIDを非表示/違反報告)
杜若蒼(プロフ) - TAMIKOさん» 了解でーす♪書き上げ次第更新しますね♪コメントありがとうございます♪ (2014年5月24日 4時) (レス) id: 064ab8f00f (このIDを非表示/違反報告)
TAMIKO(プロフ) - 早くー！続きー！待ってます！ (2014年5月24日 0時) (レス) id: 73739dc8a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杜若蒼 | 作成日時：2014年3月24日 14時
