風男塾であり幼馴染であり

第二波（２） ページ5

風男塾に今部長はいない。
元部長の紫集院曜介は高２へ進学すると同時に全寮制の学校に転校した。
今は部長の座は空席である。

桃くんは
「曜くんが永遠の部長だから」
と、部長の役を引き受けようとしない。
彼にとって部長は、幼馴染であり、よき理解者であり、大親友だ。
彼が部長を引き受けないのは、思い出を崩したくないからかもしれない。


「えっと、緑川・・・」
「緑川狂平」

桃くんが名前を思い出せなくなっていたら自分で名前を言った。
桃くんはため息、いや、深呼吸をし、緑川くんに向き合った。

「そうそう狂平くん。えっと、入部希望？」
「うん。だって「オタク男女集まれ！」って書いてあったし・・・」

あ、私が書いたやつだ・・・
手書きであんまり出来は良くなかったけど。

「で、あんたは何オタクなん？みたところオタクには見えへんけど」

まりる、見た目と中身は違うから！まりるがゲームと漫画オタクだなんて周りから見たら思わないよ！

「えっと・・・引かない？」
「俺たちが引くわけないだろ！あ、ちなみに俺はヲタ属性ファッション！」
「コジくんうるさい！」

コジくんが宿題を放り投げて緑川くんに近づいた。
緑川くんは困惑したような微笑を浮かべていた。

そして私は今になって、緑川くんが笑った姿を始めてみたことに驚いた。

緑川くんは少し息を吸って言った。

「妖精の研究をしていて、爬虫類なんかも好きです・・・」


え、妖精・・・？



『Aちゃん、妖精探しに行こう？』
『うん！私、ティンカーベル見つけたい！』
『ティンカーベル見つけたら大きくなれないよ？』
『そうなの？じゃあキョウヘイくんが探している妖精を一緒にさがす！』
『うん！行こう！』


・・・・・・

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