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第五波(1) ページ38

お姉さんは、何も話してくれなかった。
病室に戻ったら狂平くんは寝ていた。

「かえろ。明日も早いよ」
「でも」
「狂平は大丈夫。寝るねって言って寝たから。メモだけ置いてこう」
「うん。・・・今日は疲れたからジム休むね」
「ん、分かった。もう遅いしな」

違う。
疲れただけじゃないよ。
半分嘘で半分本当。

ショックだった。

お姉さんがあんなに冷たい人だったという事実に。
そういえばあの時も感情が見えなかった。
なんで、あんなに冷静で冷たいの?

狂平くんと違う。

あの人の事がわからない。

・・・・・・

「狂平くん目が覚めたの?」
「わあ‼じゃあ明日いく?」
「行きましょうよ。お見舞い何を持って行きますか?」
「果物とか?」

LINEで報告すると皆が一斉に会話をしだした。

ただ、既読7なのに、桃くんは会話に参加してない。
いつもは参加してるのに。

「桃?どうかしたか?」
「ううん。明日行こうね」

コジくんの気遣いでやっと反応した。
桃くんはよくわからないアニメのスタンプを送信した。
それは笑ったキャラだった。

でも、わからない。
桃くんが何を考えているのか。
文字ではわからない。

気持ちなんて文字ではわからない。

「コジくん個人にきて」
「え?」

桃くんはそれだけいうと画面を切り替えたらしい。
次から既読が6になった。

「あー、いってくる」

やっぱり文字では気持ちはわからない。
まあ、狂平くんのお姉さんは表情を見ていても何を考えているのかわからないけど。


狂平くん、今は寝てるかな。
さみしいかな。
一人なのかな。

お姉さんは、何をしているのかな。
狂平くんの横にいる?帰っていたらやだな。

もう一回行こうかな。
でも、もう面会時間過ぎてるし。
心配だよ。


いつも浦正が泊まっている部屋に入る。
押入れから様々な箱を出す。
何箱も出てくる。
沢山の浦正との思い出。
そこから出てくるキョウヘイくんとの思い出。
紐にビーズを通しただけのネックレス。
妖精の絵。
沢山の思い出。

懐かしい。

懐かしいな。
キョウヘイくん大好きだよ。

狂平くん、大好きだよ。

だって、違う。
浦正や皆と一緒にいるのと全然違う。

ドキドキする。

違うんだ。

もしかしたら、初恋?
同じ人だし、そうなるの?

わからない。

自分の気持ち。

こんなの初めてだもん。

小学1年生のときと違う。

違うんだ。

私は自分の気持ちがわからない・・・

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K - これはやばい、泣きそうなるwwおっしゃ、続きみてきます!! (2014年7月24日 16時) (レス) id: 62927ed8ab (このIDを非表示/違反報告)
杜若蒼(プロフ) - 馬鹿様@義さん» 嬉しいです!ありがとうございます☆ (2013年7月26日 20時) (レス) id: 064ab8f00f (このIDを非表示/違反報告)
杜若蒼(プロフ) - ちゅりさん» 容量関係で新しい奴作ったよ♪ (2013年7月26日 20時) (レス) id: 064ab8f00f (このIDを非表示/違反報告)
馬鹿様@義(プロフ) - とてもいい話ですっ!!めっちゃ続き気になるます!! (2013年7月26日 17時) (レス) id: 2449c355ab (このIDを非表示/違反報告)
ちゅり(プロフ) - 続き気になる―やっぱり面白い (2013年7月19日 17時) (レス) id: d15994d5d7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:杜若蒼 | 作成日時:2013年5月26日 23時

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