絵本2 (ページ8)

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#桜火過去考察② ページ8

何年も経って、俺も大人になった。
軍の特別兵学校に入り、一般兵士を指揮する立場として戦場に出るというところで戦争が終わる。
「今の戦況は、冷戦状態である。決着がついていないのが現状だ。我が軍が優位に立っているとはいえ、これからいつ、何時、何が起こるかわからない。」
「いずれ、この地球は隕石の衝突によって滅ぶと言われている。マザーコンピューターは我々に少しでも生き残る可能性を探れと指示をした。」
「君たち優秀な人間には国民を守る義務がある。君たちはとても優秀だ。1人でも多くの国民を守り抜け。」
「はい！」
兵学校の中でも成績優秀であった俺には、それ相応の自信があった。
それは、隔離された場所での、井の中の蛙であることをすぐに思い知る。
俺は、今この国がどのような状態であるのか、データ上でしか知らなかったのだ。

「酷いな。」
「ああ、不発弾はどこにあるのか本当にわからないな。慎重に回収するぞ。」
俺たちに任されたのはある貧しい地域の不発弾処理だった。
空から落とされた小型爆弾の回収はもちろん、埋められて放置された地雷、爆弾によって壊された工場にあるという危険化学薬品の処理。各自が自決の為に所持していた手榴弾。
あらゆる危険物を処理していくのが俺たちの仕事だった。
「マザーコンピューターが大きな戦争を制御するようになって、なんとか冷戦状態になったけど、こんな小国のことなんか見てくれないってか。」
「よせ。マザーコンピューターに文句を言うな。とりあえず大きい爆弾から処理をする。」
マザーコンピューターが全世界を支配する。
それ自体は俺たちにとっては当たり前のことだった。
マザーコンピューターがあるからこそ、この戦争は一時的にでも止んだのだ。
それでも、戦争自体がなくなったわけではない。
今でも国民は貧困に喘ぎ、いつ空から爆弾が降ってくるのかわからない、いつ、どこから撃ち殺されるかわからない恐怖に怯えている。
その恐怖を少しでも減らす為に俺たちはここにいる。
「兵隊さん、兵隊さん。」