Ep.17 つまりこれは夢オチってことでよろしいか？ ページ18
「＿＿＿お前か。」
白く靄がかかったような視界の中で「あの方」が振り返る。
ここはどこだろう。
私達が初めて出会った野生の琉璃百合が咲き乱れる花畑でもなければ、皆で集まったことのある場所でもない。
そもそも、璃月にこんな場所…あっただろうか？
「おかしな顔をしているが…どうかしたか？」
「……いえ、なんでもありません。」
「そうか、それならいい。」
目の前で私を見つめるあの方は「いつも通り」白い衣装を纏っている。
＿＿＿何故か、そのことにひどく違和感を覚えた。
おかしなところなんて、何一つない。
ない、はずだ。
それなのに、どうしてこんなに心がざわつくのだろう。
一人で首を傾げていると、不思議そうに名前を呼ばれた。
先程から一人でおかしな挙動をする私を見かねたのだろう、優しい方だ。
だが、問題はそこではない。
あの方は私の名前を呼んだ。
そう、呼んだのだ。
「A」と。
「＿＿＿＿え？」
そうだ。あの方がその名前を知っているはずがない。
それなのに、どうして。
驚いて顔を向けると、そこにいたのは
深い茶色の衣装と毛先だけ橙に染まった髪。
瞳に宿る黄金は、どれだけの時間を経ても輝きを失うことはない。
この璃月港で博識と謳われる、往生堂の客卿。
「＿＿っ」
「なんでバレた！？」
半ば悲鳴ともとれる叫び声を上げながら飛び起きる。
肩で息をする私の視界に飛び込んできたのは、見慣れた自室の壁だった。
「……ゆ、め…」
ですよね。
しかしあまりにも内容が心臓に容赦ない。
自分の記憶整理能力に悪意を感じる。
……いや、訂正しよう。
これは悪意というよりも多分、＿＿『恋慕』の類だ。
原因なんて考えるまでもない。
あの方と目が合ってしまったからだろう。
息を整えて窓の外を見る。
どうやら、まだ夜が明けてすらいないようだった。
何が悲しくてこんな時間に自分の夢にたたき起こされなくてはいけないのだろう。
もういいのではないか、と。
そう囁く自分がいることに気付いていないわけではなかった。
あの方は神の座を下り、凡人として暮らし始めた。
私が目の前に現れたところでこれ以上変わるものはないのではないか、と。
…そうかもしれない。
でも、違うかもしれない。
わからないから、選ぶ道を変えることもできない。
「何考えてるんだろう、私。」
変えるも何も、関わることすら困難な相手だ。
…あぁ、違う。そうじゃなくて。
もう、感情がぐちゃぐちゃだ。
Ep.18 つまり過去回想入りますってことでよろしいか？→←Ep.16 どうして、こうなるんですか。
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ブックマーク＠りんごおれ(プロフ) - ものすごく最高です応援しています！ (2023年3月4日 17時) (
レス) id: 30dece2dde (このIDを非表示/違反報告)
しろぐみ - ありがとうございます……！ 大遅刻更新ですが、良ければこれからもどうぞよろしくお願いいたします……！ (2022年12月23日 22時) (レス) id: 02baec0345 (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - とても面白い作品ですね！！楽しく読ませてもらっています。更新楽しみにしてますね！！！ (2022年12月2日 22時) (レス) id: 7981f63c4d (このIDを非表示/違反報告)
しろぐみ - 有害物質さん» 読んで頂きありがとうございます！ 更新頻度は遅くなってしまっていますが、これからも楽しんでいただけたら嬉しいです……！ (2022年11月27日 16時) (レス) id: 02baec0345 (このIDを非表示/違反報告)
しろぐみ - ゆいﾋﾟさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます……！ もうなんと言いますかどんどん無料で読んで頂ければ嬉しいですといいますか……！ 良ければこれからもどうぞよろしくお願い致します…！！ (2022年11月27日 16時) (レス) id: 02baec0345 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しろぐみ | 作成日時：2022年3月30日 16時
