狙われたふたり。2 (ページ39)

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橋

あれから、いつどんな時も
あの日のことが忘れられない。
怖くて怖くて堪らなかった。
あの日以降、お仕事をしていても
そのことを考えちゃって、手につかなかった。

警察官に聞かれた時も、
その時の状況すぐ言えばよかったんだけど
あの人たちがあそこを去る時、俺たちに向かって、

「このことは誰にも言うんじゃねえぞ。
言ったらどうなるか分かってるな？」

と言われ、恐怖で何も言えなかった。
けど、このままでいいのか？？
俺がやられそうになったのを北山くんは助けてくれた。
佐久間くんだって北山くんを助けた。
俺が2人を助けないと、と思い先輩たちに連絡し
この家にやってきた。

北山くんは入院中だけど、
今日目覚めたらしい。
佐久間くんは、過呼吸が酷く寝られない状態
が続いているから検査入院するそうだ。

お昼をいただきながら、
みんなのお話を聞いていた。
食べ終わり、

「話って何かな？？」と聞かれ、
俺は意を決してあの日あったことを話した。
全部。言えなくてごめんなさい。

「謝る必要ない。言ってくれてありがとう。
俺らもみんなのこと、ほったらかしにしてた。
ちゃんとケアすべきだった。ごめん。」

北山くんがあの日の記憶がないらしく、
佐久間くんのことも憶えていなかったらしい。
佐久間くんも一時期記憶がなかったらしく、
強いストレスがかかっていた可能性があるらしい。
北山くんに会ってほしいと言われた、
それから、先生にちゃんと診てもらって、と。

「そいつらのことは、任せて？
あ、橋本とかみんなが言ってないようにするから。」

安心したのか涙が溢れてきた。
このモヤモヤを誰かに話せてよかった。

その日のうちに、他の4人に連絡し、
明日行けそうだと伝えたら、
二階堂くんが一緒に付いてきてくれるらしい。
正直、有難かった。
佐久間くんと同様に、忘れられていたら
きっと動揺してしまう。
否、動揺どころじゃないかもしれない。

でもそれ以上に、やっと会える。
北山くんに会えるんだという思いがあった。
俺たちが見た最後は、ボロボロで意識がない
北山くんだったから。
目覚めて話せているんなら、少し安心だ。

「明日なんだし、泊って行けば？」

何回も断ったが、明日また俺ん家に行く手間を
考えて、了承した。
北山くんの部屋を借りさせてもらうことに。
本人が居ない時に部屋に入るのは申し訳ないが。
物が少なく、北山くんっぽいなあと思った。