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「誰ですか?」という佐久間は
知ってる佐久間のはずなのに、
知らない人のように見えた。




「急にごめん。びっくりしたよね。
でも僕たち君の友達なんだ。
だから会いに来たの。」




なるべくゆっくり優しく話しかける。
すると、すぐに明るい表情に変わった。





「俺にも友達居たんですね。嬉しい。
病院にいるのに誰も会いに来てくれないから
不安になっちゃってました。記憶もなくて。」



康二の言った通りだった。
やっぱ記憶なくても会いに来てくれるのは
嬉しいよね。
敬語なのが気になるけど。
俺は、持って来ていたスケッチブックを取り出し、
「佐久間 大介」と書き、佐久間に見せた。




「これが君の名前だよ。佐久間大介。
俺は、阿部亮平だよ。」




「さくま、だいすけ、、??」




「そう。
で、俺が渡辺翔太。
タメでいいよ、友達なんだし。」




「あ、有難う。」





「俺は宮田俊哉。
いきなり3人の名前なんて覚えられないよな〜。
焦らなくていいからな?」





「あ、因みに宮田くんは先輩だから。
俺らにはため口でもいいけど、
宮田くんは敬語ね。」




「ええ、ややこしくなんない??
どっちでもいいからね?」





「ありがとうございます。
阿部くんに渡辺くんに宮田くん。」





「佐久間に“くん”付けで呼ばれるなんて、
気持ち悪いわ〜〜慣れない。笑」





「ええ、俺何て呼んでたんですか?
あ、呼んでたの?」




敬語を言ってしまって、
律儀に言い直す、佐久間。
「あ、」って言ったときの少し笑った顔が
俺らの知ってる佐久間だった。




「俺のことは“阿部ちゃん”で、
翔太のことは、“翔太”とか“しょっぴー”かな。」





「しょっぴー?笑」







ああ、笑った、。その顔が見たかった。






「そうだよ、まあ呼びやすいのでいいよ〜。」







俺はあえて、職業とか言わなかったけど、
明日以降他のメンバーも来ることも考えて、
「友達」「先輩」として会いに行った方がいいのかな。
俺は前のように話したいけど、記憶なくしてるということは
嫌なことに蓋をしている可能性が高い。





「あ、明日以降も友達来る予定だから。」





「え、まだいるの?楽しみ。」






嬉しそうに笑う君を悲しませたくない。
もう辛い思いさせたくない。

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作者名:でん。 | 作成日時:2023年10月23日 20時

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