狙われたふたり。2 (ページ16)

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北

深夜2時に家を出た。
静かに出たつもり。気付かないで。
冬本番ではないものの、流石にこの時間は寒い。
はぐれない様に手を繋ぐ。

とりあえず、繁華街に向かう。
この時間でも人はいると思うし、
人が少ないところにいるよりか
怪しまれないと思ったから。
2人だけだと、警察とかに保護されそうじゃん？

こんな時間なのに結構人がいるな。
しかもめちゃくちゃ治安悪いな。
バレるとやばいし
フード被って下向きながら歩いた。

結構歩いたかな～～～
途中マクドとかコンビニで休憩した。
少しお金持って来ていてよかった。
携帯とかは置いてきたけど。

「なあ、朝日見に行かね？」

「見たいです。」

朝日見られるんじゃね？と思って
海の方目掛けて歩いた。
水平線っていうの？
そこから見て見たいじゃん？
こんな機会もうないかもしれないし。

「着いた～、あれ朝日じゃね？」

こんなタイミングよく現れるわけないって？
そんなことあったの～ラッキー。

「北山くん、危ないですよ。」

水平線から出てくる朝日を見たくて
つい足が海の方へと進む。
けど、佐久間が危ないと引き留めた。

「もう、いいんだよ。俺の人生。
何かさ俺のせいでグループ止まってるじゃん？
見てんの辛いの。
俺かあいつらが死ぬまで続く気がする。
あいつらってあのあいつらね？
傷ついて、戻って、また傷ついての繰り返し。
もうさ、しんどいの。」

何か俺らしくない言葉並んでいる。
でもグループに迷惑かけてんのは事実だもんなあ。
てかそもそも“俺らしい”って何？
別に俺だって病むことあるし、しんどいなあって
思うことあるよ。
何でメンタル強いとか、そういう言葉？
俺らしいって思うんだろう。
人間みんな弱いはずなのに。
自分で自分の首、絞めてんなあ。

「俺も連れて行ってください。
一緒に行きたいです。北山くんと。
この悲しい事実は俺らで止めないと。
誰にも邪魔されないところ行きましょ。」

そうだよ。
俺らが行けば、やつらはもうこういうこと
止めるかもしれない。
この事実知ってるのは、苦しんでいるのは、
俺らだけでいいんだ。

「行こうか。」

朝日に向かって歩を進める。
寒い。けど、どうでもよかったんだ。

ばいばい、みんな。
ごめんね、みんな。

ありがとう。