HPが擦り減りゆく【そ.ら.る.】 (ページ10)

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『真冬ちゃん告白断ったって』

「……そ」

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最近彼、一ノ瀬彼方が性格までイケメンだと分かってきた。まぁ私に対する態度は変わらないが、ちょっと観察すると……、なかなか優男なのだ。

落し物は持ち主が見つかるまで探すし

係が全然働かない時は花に水をやる

下校中たまたま見たのは、野良猫を餌をやる姿だった。

『一ノ瀬君、ここ教えてください』

「…自分でやれば」

『マック奢るぞ』

「………どこ？」

本格的に寒くなってきた12月。冬休み前のテストに今後のお小遣いの運命がかかっているので、放課後に残って図書館に行けば、一ノ瀬君もテスト勉強に励んでいた。

(いじり倒すチャンス)

隣いいかと聞けば即答で拒否されたので、一つ分空けて座る。がらんとした図書室は司書がサボっているのか私たち以外誰もいない。

ぎしっと音がして横を向けば、彼が一つ空けた席に腰を下ろした。一瞬香ってきたシャンプーの匂い。自分のと同じだと気付いた。

ぎゅぅぅと心臓が縮んだ気がする。体温が上昇。

「A、どこが解んない…？」

キョトンとした顔にのぞき込まれて慌てて我に返れば、どこが解らなかったかも忘れてしまった。

『え？あ、え、っと…、ここ！』

「ん、あー、ここはこの公式で」

いつから、こんなに優しかったっけ。

伏せている目を見れば、まつ毛なっが……何て馬鹿な事を考える。綺麗な低い声が心地よくて、内容なんかそっちのけで聞き入ってしまった。

「A」

『…ぁ、どした？』

「んや、なんでもない」

どんどんと体温が上昇するのを感じて、このままでは爆発しそうな気がするピンチ

彼の骨ばった手が私のノートにするすると式を書く。距離の近さに改めて驚くとやっと解説が終わってくれたようだ。良かった。やっと平常心に戻れるぞ。

「…～～～で、こうなるんだけど、解った？」

『あっはいうん。ありがとう』

「…ぁ、お前だった」

『は？』

なにを言っているのかわかんなくて思わず聞き返せど、「早く終わらせろ」といつも通りの彼になって自分の席に戻った。

「マック…やっぱいい」

『え？いいの、けどさっき……』

「別にいいのー……」

上を向いて諦めた様に笑った。