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第10話 ページ10

この間の喧嘩の傷も癒え始めた頃、日向は街へ出かけた。

出かけても特にすることはないが、日向は時々こうして街をふらつくことがある。


裏の世界を知らない人たちが楽しそうに歩いていく。

呑気な奴らだ。ああいうやつとはこの先も分かり合える気がしないな。

なんて考えてみたり。



そして日向はAのことを思い出す。

未だにAの顔が頭から離れて消えない。


日向からすると引き分けという結果が悔しすぎたのだ。



「あんなやつに勝てないとはな」




制服を着た女子高校生たちが前方から歩いてくる。

日向は想像してみた。

あんなグループのリーダーをやっていてもあいつにはこういった日常が存在しているのか。

はたまた、学校なんかには行っていないのか。

しかしそれは想像するまでもなかった。




「…」


運の良さに思わず笑みが溢れた。


「よぉ」

「…」




まさかの再会を2人は果たす。


周りの友達はAを囃し立てていた。


制服を着たAはなんでここにとでも言いたそうな顔だが。



「ごめん。今日は先帰るね!また明日!」


Aは友達にそう言うと日向に歩み寄る。

変な気を起こされる前に、Aはついて行こうと思ったのだ。

日向は踵を返し人通りの少ない方へと歩いて言った。


小さな小川が流れる橋の上まで来て日向は振り返る。

反省文を書けと言われた中学生のようにうざったそうな表情をしたA。

しかし威嚇する犬のように体勢を低くした。


「お前やっぱまだ高校生かよ」


タバコに火をつけ手すりに右肘を置いて寄りかかる。


「そうですよ」

「さっきまでいたやつ友達だろ?普通の高校生やってんだな」


他愛のない会話に不審がっている様子のA。


「私たちはあなた達みたいに喧嘩が日常ではないです」

「たちってことはtranceparentやつら全員そうなのか?」

「ほとんどがそうです。普段は社会人や学生をやってる人たちばかりです。だからみんな喧嘩中は声を発しないしお面で顔を隠す。日常があるから。みんな、喧嘩をしたいがためにあそこにいるんです」

「なるほどな」


日向はタバコを川に捨てるとAとの距離を詰める。





「まぁ、どうでもいい。昨日の決着つけよーや」




Aは待ってましたとばかりに口角を上げた。

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- 秋(シュウ)さん» ヽ(*´∀`)bハーイ (2017年12月3日 15時) (レス) id: 95ee45f67a (このIDを非表示/違反報告)
秋(シュウ)(プロフ) - 魄さん» コメントありがとうございます!テストお互い頑張りましょうね! (2017年12月2日 22時) (レス) id: 19f78b416f (このIDを非表示/違反報告)
- あ、あとテスト頑張れ〜!私もテスト期間だわw (2017年12月2日 17時) (レス) id: 95ee45f67a (このIDを非表示/違反報告)
- 続編楽しみにしてます!頑張って! (2017年12月2日 17時) (レス) id: 95ee45f67a (このIDを非表示/違反報告)
秋(シュウ)(プロフ) - みきやんさん» コメントありがとうございます!本当ですか!めっちゃ嬉しいです…! (2017年12月1日 17時) (レス) id: 19f78b416f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:秋(シュウ) | 作成日時:2017年11月8日 19時

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