【艦これ】島風、ほっぽ、ペット生活、始めます！【かじぺじ】 (ページ3)

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第二話ページ3

「速さだけじゃ…駄目なのね…」

水面を仰ぎながらふと呟く。
耳鳴りが酷い。けど、みんなの叫び声だけは聞こえた。
答えることは出来なかった。

みんな、ごめんね…

提督、せんせい、高雄、アタゴン、加賀、羽黒、優等生、ぽいぽいちゃん、ゆっきー…

みんなの顔が浮かんでは消えた。

せっかく、先ぱいに…すこしだけ、おねえちゃんに…なれた…のに…

―そうだね、でも、僕は気づいてたよ。練度の低い雪風を庇ったんだよね。素敵な先輩の姿だったよ。

目が光を感じ取れなくなる直前に、連装砲ちゃんがそう言った気がした。

―ね、もう疲れたでしょう？一緒に寝よう。
次に目覚めたとき…平和な海で駆け回れる世界になってるかもしれないよ。

うん…ああ、でもみんな大丈夫…かな… わたしが抜けちゃって…だって…みんなおそいもん…

最後まで私ってば素直じゃないな…レ級に笑われちゃうよ…

月明かりが波に揺れた。徐々にその光が薄暗くなって、遂には真っ暗になった。

次に目覚めたとき、私は傷一つない、至って綺麗な姿だった。隣にいた連装砲ちゃんもそうだった。
まるで、沈んだ方が夢だったというかのように。でも、あれが夢だとは到底思えなかった。あの火薬の臭い、痛み、そして、揺らめき暗くなっていく月明かり…

「もうなんか分かんないよ…」

とため息をついたとき、泣き声が聞こえた。
その方を向くと、まっすぐな白い髪のはえた小さな頭が見えた。

「オネエ…チャン…ッ」

それは人と少し変わっていて、物凄く小さく、消えそうな声だった。近づこうとして、ふと気づく。彼女との間に透明なガラスが張ってあることに。

「…なぁに？貴方、何で泣いてるの？」

「オネエチャンガ…イナイノ…ッ」

…お姉ちゃん。その言葉は少し胸に刺さった。
でも、せめてその代わりになろう。

「…大丈夫、お姉ちゃんが来るまで、私がいてあげる」

「アリガトウ…ナノ…ッ」

その少女は、ほっぽと名乗った。海が好きだと言った。

「ウミニイルト…タクサンノヒトガ、ホッポトアソンデクレルノ…ッ。コノマエハ、レップウ、モラッタノ…ッ！…ナノニ…オネエチャンハ、カンムストオトモダチニナッチャダメッテ…」

この言葉に、私は疑問を持った。艦娘に人間と関わってはいけないなんて規律はない。

「ねぇ、貴方のお姉ちゃんって、どんな人？」

思わず聞いてしまった。

その答えに耳を疑った。
それは、私を沈めた深海棲艦…港湾棲姫の特徴そのままだったのだ。