34 ページ35
・
うっすらと目を開けるとそこは無機質な部屋。
独特の匂いでここは、病院だとわかる。
「あぁ、起きた」
意外と近くから聞こえた声に安心した。
少しでも体を起こそうとすると、全身が悲鳴をあげた。
「無理しないで。
だってあなた、両腕粉砕骨折、顔面骨折。
何より目に後遺症が残るかもしれないって話してた」
そこで気づいた。
Aの声が少しだけ湿っていた。
何とか起こした体をAの方を見た。
「…見ないでよ」
「ごめんな、泣かせた」
真っ赤になった目。
Aを泣かせたのも、もう何度目になるのだろう。
「別に泣いてない。
死にたがりの心配なんてするか」
そう言って拗ねる様子がたまらなく愛おしかった。
頭を撫でたい。
抱きしめたい。
…だけど、それが出来ないのを既に知っていた。
Aの“個性”は『霊体』。
全部憶測でしかないのだが、死後発動する“個性”で俺にしか認識出来ず、触ることは出来ない。
「俺は…。
やっぱりお前がいないと何にも出来ない男だ。
さっきの戦いだってお前の一言で救われた。
お前がいない世界で生きていける自信が俺には、ない。」
俺は、お前がいればただそれだけで良かった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 148人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おちょぼけ(プロフ) - 半分ニートガールさん» 嬉しいです。ありがとうございました (2018年11月16日 16時) (
レス) id: b5b60748e6 (このIDを非表示/違反報告)
おちょぼけ(プロフ) - 卯の花さん» こちらこそ読んでいただきありがとうございます (2018年11月16日 16時) (レス) id: b5b60748e6 (このIDを非表示/違反報告)
半分ニートガール - 感動いたしました。こういう話に弱いんだよｺﾝﾁｷｼｮｳ!!! (2018年11月11日 13時) (レス) id: 94956eabef (このIDを非表示/違反報告)
卯の花(プロフ) - 素敵です。泣きました。素敵なお話ありがとうございます (2018年11月11日 0時) (レス) id: 68c980d0a1 (このIDを非表示/違反報告)
おちょぼけ(プロフ) - マイさん» 最後まで読んでいただきありがとうございます (2018年11月10日 14時) (レス) id: b5b60748e6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おちょぼけ | 作成日時：2018年4月7日 14時
