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6 残酷 ページ6

翌朝、私はまた父に呼び出された。
恐る恐る部屋に向かうと、そこには綺麗な着物が用意されており…驚くことに、父はそれを私にくれたのだ。

こんなに素晴らしいものは頂けない、と断ったのだが
「娘に何もしてやれなかった分だ」と父に言われ受け取った。直接触ってみると、その着物の上等さがわかる。…かなり高い着物だ。
父は部屋を出て、義母は私に着付けをしてくれた。
キツくない?大丈夫?なんて、私を気遣いながら着物を着せてくれた。

──白い着物に、薄い水色の花の模様。
青色の帯には、金色の紐が輝く。
鏡の前で、ぼうっと眺める私に…部屋に戻ってきた父は、簪を与えてくれた。

私を椅子に座らせて、母は私の髪を結ってくれた。
いつもいつも、乱雑に編んで前に垂らしているだけの髪は、綺麗に櫛でとかされ…簪でまとめられる。
──自分が、自分じゃ無くなるようだった。

汚らわしい半妖の私でも、こんなにも綺麗になることが出来るのか…と驚いた。鏡の前に映る私は、まるで普通の少女のようで。

思わず涙が零れてきた。
心配そうにする両親に、涙を拭って感謝の気持ちを伝えようと──した。


「半妖の娘というのは、この者のことか?」

ばん!と音を立ててドアが開く。…立っていたのは、鬼の軍団。筆頭らしき黒鬼が、父にそう問う。

「あぁ、そうだ。…我々の忠告も聞かず、こいつは蛇王様の命を──」

「やめなさいってあんなに止めたのに…今だって、私達に金を渡すよう脅してきたのです…」

──何を言っているんだろう。
忠告?蛇王様の命?脅し?

…だって、あの荷物を運ぶよう指示したのは父の方じゃないか。脅しなんて…いつもしているのはそっちの方じゃないか。

「ほぉ、もうそこまで情報がいっていたか。カイラ様宛の荷物には、確かに毒が入っていた。お前たちは、それを知っていたのか?」

「いいえ。先程、この者の口から聞かされたのです。…でも、蛇王様に危害が及ぶようなことにならなくて良かった──」

──ああ、そうか。
そういうことか。

弁解を続ける声が聞こえるなか、私は彼らの思惑を理解した。
荷物が蛇王様の元に届き、彼が暗殺されれば…捕まるのは、荷物を渡した私になる。
荷物を渡せと言った後に勝手に毒を入れた…なんて嘘を付けば、ここの従業員たちは、彼らの味方をするだろうし。──私を信じてくれる人など、誰もいないだろう。

荷物が届かず、毒が入っていることがバレても…私のせいにすればいい。もしバレそうなら…高飛車に見えるように、気飾ればいいのだ。

──世界は残酷だ。

やっと、家族になれたと思ったのに。

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海羅 - ユーリさんこんにちわ。おもしろかったです。また続き書いてください! (尊死) (9月19日 9時) (レス) id: 286d8438eb (このIDを非表示/違反報告)
海羅 - めっちゃ続ききになります!! (9月19日 9時) (レス) @page10 id: 286d8438eb (このIDを非表示/違反報告)
asterisk👑ground - ユーリさん» ユーリさんはじめまして、asterisk👑groundと申します、宜しくお願いします(⌒‐⌒)先程ユーリさんの作品を読ませて頂いきましたが何れも面白みがあって素敵ですね。次回の内容も楽しみにしてます♪(/ω\*) (6月18日 12時) (レス) @page3 id: 09a4a3c559 (このIDを非表示/違反報告)
読んだ感想 - 生きててごめんさい?ならはよ史ね (2022年8月5日 17時) (レス) id: 2c09132fd3 (このIDを非表示/違反報告)
ユキヒメ - ウッ、ヤバイ、カイラがカッコよすぎて死ぬー!これめっちゃ続き気になるわ、更新頑張ってください! (2021年5月2日 15時) (レス) id: 19f1affe62 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユーリ | 作成日時:2020年3月26日 18時

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