【実況者】怪盗レトルト参上!! 5品目【主に平和組】 (ページ43)

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捜査ファイル43…？ページ43

まさかキヨ君がロープにくくられて自ら助けにくるとは思っていなかった。
予想外すぎて意味わからなかった。

なくなってしまった自分の手首を見つめ、ふっと笑ってから袖から手を出す。
そこまで体張るなんてAちゃん心底愛されてんなぁー、なんて呑気に考えてしまう。

「んんーっ！！P-Pとつわはす君のこと探しに行きますかー」

腕をグーっと伸ばして背伸びをする。
ここ最近伸ばせていなかった背筋がバキバキと悲鳴を上げる。

結構不便だったけどAちゃんとの共同生活(？)も楽しかったな。

特に追われているわけでもないからのんびりのんびり路地裏を歩きながら2人を探す。
路地裏を走っていた時のようにあっちにいったりこっちにいったり。
もう少しで大通りに出そうなところで誰かの人影が見える。

「怪盗レトルトさんやーい。」
「蘭たん…。」

その人影は蘭たん。
あの人波を超えてきたのか、少し髪や服が乱れている。

え、待って…蘭たんの頬に口紅が…
口を押えてわなわなしてると頬のことに気づいたのかプルプルと震え始める。

「これはあのネカフェの中にいたオカマにチューされたんだよ！！！」
「あらあら…。」

おほほ、とまるで奥さんのように笑えば蘭たんが頬の口紅をゴシゴシと勢いよくこする。
ちょっと意地悪しすぎちゃったかな…？

なんて、不安に思っていると蘭たんが気を取り直すかのように咳ばらいをする。

「一人なところを見るとあの子、無事救出されたんやな。」
「そ、キヨ君にかっこいいことされてしまったんや。」

両手を肩のあたりまで上げてやれやれと肩をすくめる。
その動作を見た蘭たんが真剣に俺の顔を見てくる。

「…なぁ、なんであんたは怪盗なんて職業してるんや？」

おまけに盗んだ宝を自分の手元に置かずに持ち主に返している。何が目的なんだ？

真剣な瞳で見つめられて思わずごくりと生唾を飲み込んだ。